見返す日を決める
たとえば月の最初の休みの日や、市場が閉まっている日のように、取引をしていない時に決めておきます。大きく負けた直後は、数字を落ち着いて見にくいので避けます。時間は30分ほどで十分です。
1. 5つの数字を出す
- 回数: その月に決済した取引の数
- 勝率: 勝った回数 ÷ 全部の回数
- 平均の利益と平均の損失: 勝ちの合計 ÷ 勝った回数、負けの合計 ÷ 負けた回数
- 損益の合計: 手数料・スワップを含めた額。スプレッドは売買の値段にもう含まれているので、別に引きません(取引の費用を1か月分数える)
- ルールを守れた割合: 「ルールを守れたか」が「はい」の回数 ÷ 全部の回数(トレード日記に何を書くか)
勝率と、平均の利益・損失がそろうと、1回あたりの平均の損益が出せます。
1回あたりの平均 = 勝率 × 平均の利益 − 負けた割合 × 平均の損失
たとえば勝率 45%、平均の利益 30、平均の損失 20(口座の通貨)なら、0.45 × 30 − 0.55 × 20 = 2.5 です(計算の例)。損益分岐の勝率の計算で、リスクリワードに「平均の利益 ÷ 平均の損失」(この例では 1.5)を入れると、損益が0になる勝率(この例では40%)も確かめられます。この例なら、1回あたりの平均は少しプラスです(数字は例です)。
2. 守れた取引と、守れなかった取引を分ける
損益の合計だけでは、手法の結果なのか、ルールを破った結果なのかが分かりません。「ルールを守れたか」で2つに分けて、それぞれの回数と損益の合計を出します。
- ルールを守れた: 32回、損益 +120
- ルールを守れなかった: 8回、損益 −210
この例なら、損益を一番大きく動かしたのは、回数の少ない「守れなかった8回」です。
3. 形を探す
守れなかった取引や、負けが続いた日に、共通するものがないかを見ます。
- 時間帯・曜日: 特定の時間に多くないか(市場の時間で、各市場の活発な時間の目安が、お住まいの地域の時刻で見られます)
- 入る前の気持ち: 「焦り」「退屈」「悔しい」の後や、連勝の後の「自信がありすぎる」時に多くないか
- 回数の多い日: 回数が多い日ほど、守れなかった取引が多くないか(売買しすぎに気づく数え方)
取引の回数が多い人は、守れた・守れなかったを、さらに時間帯や日ごとに分けて見ると、形が見つかりやすくなります。
4. 一番大きな減り幅と、一番長い連敗
その月の口座の一番多かった時から、どれだけ減ったか(ドローダウン)と、一番長い連敗を書き出します。減った分を戻すのに必要な利益率はドローダウンの回復の計算で、勝率と回数を仮に入れると、その長さの連敗がどれくらい起きやすいかが連敗の確率の計算で確かめられます。
見返しがつらい時や、取引をやめにくいと感じる時は、お住まいの地域の相談窓口に話すこともできます。
数が少ない時は、決めつけない
1か月の回数が少ないと、結果はたまたまで大きくぶれます。たとえば本当の勝率が50%の人でも、毎回の勝ち負けが互いに関係しないとすると、勝率が40%以下か60%以上に見えてしまう確率は、次のくらいあります(計算の例)。
- 10回: 約75%
- 20回: 約50%
- 50回: 約20%
- 100回: 約6%
人は、少ない回数の結果にも、全体と同じ割合が表れるはずだと考えやすいことが知られています。1971年の研究では、心理学の研究者でさえ、そう考えやすいことが示されました。[1] 1か月の勝率だけで「この手法はだめだ」「調子が上がった」と決めず、何か月か続けて見ていきます。回数が少ない月は、勝率よりも、ルールを守れた割合と1回ごとのメモを中心に見ます。月に数回しか取引しない人は、2〜3か月分をまとめて見返してもかまいません。
来月変えることは、1つだけ
見返すと、直したい所がいくつも見つかるかもしれません。それでも、来月に変えるのは1つだけにします。いくつも同時に変えると、どれが効いたのかが分からなくなるからです。
決めたことは、「もし〜なら〜する」の形で書いておきます。たとえば「もし負けた直後なら → 決めた時間は新しく入らない」(一例で、おすすめではありません)。来月の見返しでは、その1つが守れたかどうかから見ます。
- 回数 / 勝率 / 平均の利益・損失 / 損益の合計 / ルールを守れた割合
- 守れた取引の損益 と 守れなかった取引の損益
- 見つけた形(時間・気持ち・回数)
- 一番大きな減り幅 / 一番長い連敗
- 来月変える1つ(もし〜なら〜する)
参考文献
- Tversky, A., & Kahneman, D. (1971). Belief in the law of small numbers. Psychological Bulletin, 76(2), 105–110. https://doi.org/10.1037/h0031322