次のトレードから、1回ごとに1行、次の3つだけを書いてください。
- 入る前の気持ち(一言。焦り・退屈・落ち着いていた など)
- ルールを守れたか(はい/いいえ)
- 損益
記入例(1行):
10/14 14:20 USD/JPY 買い −1,200円 焦り ルール:いいえ
数字は書き方の例で、おすすめではありません。紙・表計算・メモのアプリ・音声入力など、続けやすい方法で十分です。1週間たったら、守れたトレードと守れなかったトレードの損益を、別々に足してみます。ほかの項目や月ごとの見返しは、慣れてからで大丈夫です。
記録の流れ(見取り図)
記録する項目(1トレード1行)
項目が多いと続きません。最初の1週間は、上の3つだけで十分です。
- 入る前の気持ち(一言): 焦り/悔しさ/退屈/不安/疲れ/落ち着いていた など。使う言葉を前もって決めておくと、後で数えやすくなります。
- ルールを守れたか(はい/いいえ): 守れなかった時は、どのルールかを短く書きます(「損切りを動かした」など)。迷ったら「いいえ」にします。
- 損益: 業者の取引の履歴から写すのが確実です。スプレッド・手数料・スワップ(ある場合。スワップなし口座では、その代わりの手数料)を含めた額にそろえます。
慣れてから足す4つ
- 日時: 入った時刻と、決済した時刻。
- 銘柄と売買: 例「EUR/USD 買い」。
- 決めていた場面か(はい/いいえ): 入る前に決めた条件(自分のルール)どおりの場面だったか。
- ひとこと: 入った理由や、気づいたことを1行。
損益だけでは、「ルールどおりに入って、ルールどおりに損切りした負け」と、「負けた直後に、決めていない場面で入った負け」が区別できません。気持ちとルールを同じ行に書くのは、この2つを分けるためです。
デイトレーダー80人が参加し、気持ちを5週間、毎日調べた研究では、損得への感情の反応が強い人ほど、成績が悪い傾向がありました。どちらが原因かまでは分かりません。[2] また、実験室の実験(30人)では、怒りや恐れの表情の写真を見ながら、合う感情の言葉を選ぶと、感情に関わる脳の部分の反応が小さくなっていました。トレード中の自分の気持ちを調べたものではありません。[3]
取引が終わったら、すぐ確かめる3つ
- 損切りと利確は、入る前に決めた位置のままだったか
- ロット(数量)は、決めていたとおりだったか
- 次に入る前に、今日の回数と損益を見たか
答えは「ルールを守れたか」の列にまとめて書けば十分です。確かめる項目は一例です。自分のルールに合わせて決めてください。くわしくはトレード日記の書き方と、ルールを決めても守れない時、記録で見えることで説明しています。
毎日と毎週、数えること
1日の終わりに(数分)
- 今日の回数(自分で決めた上限と比べて)
- 予定になかった(「決めていた場面か」が「いいえ」の)回数
- 「ルールを守れたか」が「いいえ」だった回数
- 今日の損益と、続いている連敗の数
回数・損益・連敗は、今日の記録カードで、トレードのたびに押すだけで、自分で決めた上限と並べて見られます(気持ちやルールのことはカードに残らないので、日記に書いてください)。回数が多い日が気になる時は、売買しすぎに気づく数え方もどうぞ。
プロップファームに挑戦中なら、会社の規則にある1日の損失や最大ドローダウンの線と、今の数字を並べて記録しておくと、線までの距離が分かります。→ プロップファームの損失の上限の数え方
週に1回
- 「ルールを守れた」トレードと「守れなかった」トレードの損益を、別々に足す
- 守れなかったトレードの前の気持ちに、同じ言葉が多くないか
- 守れなかったトレードが多い時間帯や曜日はないか
目標への進み具合を記録・確認するよう促した実験138件(約2万人)をまとめた研究では、記録や確認をするよう促された人の方が、目標を達成しやすくなっていました。進み具合を書き残す時や、人に報告する時の方が、効果は大きくなっていました。対象は健康や運動などの目標で、トレードの研究ではありません。[1]
慣れてから: 月に1回の見返し
数週間続いたら、月に1回(30分ほど)、次の数字を書き出します。
- 回数と勝率(勝った回数 ÷ 全部の回数)
- 平均の利益と平均の損失
- 損益の合計(スプレッド・手数料・スワップ(ある場合。スワップなし口座では、その代わりの手数料)を引いた後。取引の費用を1か月分数える)
- ルールを守れた割合(「はい」の回数 ÷ 全部の回数)
- 一番大きな減り幅(ドローダウン)と、一番長い連敗
勝率と平均の利益・損失がそろうと、1回あたりの平均の損益が出せます。
1回あたりの平均 = 勝率 × 平均の利益 − 負けた割合 × 平均の損失
見返す日は、取引をしていない日に決めておきます。大きく負けた直後は、数字を落ち着いて見にくいので避けます。手順は1か月のトレードの見返し方にまとめています。一番長い連敗がどれくらい起きやすいものかは、連敗が続いた時、確率で見るで説明しています。
数が少ないうちは、決めつけない
回数が少ないと、結果はたまたまで大きくぶれます。たとえば本当の勝率が50%の人でも、毎回の勝ち負けが互いに関係しないとすると、勝率が40%以下か60%以上に見えてしまう確率は、10回で約75%、20回で約50%、50回で約20%、100回で約6%です(計算の例)。人は、少ない回数の結果にも、全体と同じ割合が表れるはずだと考えやすいことが知られています。[5] 回数が少ない月は、勝率よりも、ルールを守れた割合と1行のメモを中心に見ます。
次の月に変えるのは、1つだけ
見返すと、直したい所がいくつも見つかるかもしれません。それでも、次の月に変えるのは1つだけにします。いくつも同時に変えると、どれが効いたのかが分からなくなるからです。
決めたことは「もし〜なら、〜する」の形で書きます。場面と行動を前もって結びつけて決めておくと(実行意図)、目標の達成によい効果があったことが、多くの研究をまとめた分析で報告されています。[4] 例:「もし負けた直後なら → 決めた時間は新しく入らない」。例であり、おすすめではありません。中身と数字は自分で決めてください。次の月の見返しは、まずその1つを守れたかどうかから見ます。
慣れてから: MT4/MT5 の履歴の使い方
損益・時刻・数量は、手で書くより、MT4/MT5 の履歴から写す方が確実です。
- MT5: 「履歴」のタブで見ます。1トレードを1行で見たい時は「ポジション」の表示が見やすい形です。期間も選べます。[6] レポートは HTML や PDF で保存できます。[7]
- MT4: 「口座履歴」のタブを右クリックして期間を選び、「レポートの保存」で HTML のファイルとして保存できます。[8]
- 数字にする: 損益の列をコピーして取引履歴の統計に貼ると、勝率・平均の勝ちと負け・プロフィットファクター・最大ドローダウン・最大の連敗が出ます。入出金の行は数えません。計算は端末の中だけで行います。
- 時刻: MT4/MT5 の時刻は業者のサーバーの時刻で、自分の地域の時刻と違うことがあります。サーバー時間の換算で自分の時刻に直すと、「夜遅くに多い」のような形を正しく見られます。
履歴にあるのは、価格・数量・損益などの「何が起きたか」です。なぜ入ったか、そのときの気持ち、ルールを守れたかは履歴に無いので、日記で足します。画面での名前は、版や言語の設定で少し違うことがあります。手順はMT4/MT5の取引履歴を書き出して振り返る手順にまとめています。
スマホの MT4/MT5 アプリや、ほかの取引ソフト・業者の画面でも、取引の履歴は見られることが多く、表示や保存のしかたはそれぞれ違います。履歴を出せない時は、日時と損益を1行ずつ手で写すだけでも十分です。
続かない時の、よくある理由と工夫
- 書くことが多すぎる: 「気持ち」「ルールを守れたか」「損益」の3つだけにします。慣れてから増やします。
- 書くのが面倒で、後回しになる: 取引が終わったらすぐ、1行だけ書きます。手で書くのが難しい時は、表計算・メモのアプリ・音声入力など、使いやすい方法でかまいません。
- 気持ちの言葉が毎回ちがい、数えられない: 使う言葉を5〜8個ほど前もって決め、その中から選びます(数は一例です)。
- 負けた日は見たくない: 見返す日は、取引をしない日に決めておきます。書くのは1行だけでも、残しておけば後で数えられます。
- 見返しても、何も分からない: 損益の合計だけでなく、「守れた・守れなかった」で分けて足します。
- 直したい所が多すぎる: 次の月に変えるのは1つだけにします。
どうしても守れないルールがある時は、なぜそうなりやすいかをルールを決めても守れない時、記録で見えることで、記録で気づける心のくせをFXのメンタルと感情のまとめで紹介しています。
このページについて
ここで紹介した研究は、健康や運動の目標、少人数のデイトレーダーの調査、実験室の実験などで行われたもので、FX の記録そのものを調べたものではありません。また、一部の国の人を対象にした研究が多く、ほかの国や文化でも同じ程度に当てはまるとは限りません。日記をつければ成績が良くなる、とまでは言えません。どの項目が役に立つかは人によって違うので、続けやすい形に変えてかまいません。損が続いて苦しい時や、やめたいのにやめられないと感じる時は、ひとりで抱えず、身近な人や、お住まいの地域の相談窓口に相談してください。
参考文献
- Harkin, B., Webb, T. L., Chang, B. P. I., Prestwich, A., Conner, M., Kellar, I., Benn, Y., & Sheeran, P. (2016). Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychological Bulletin, 142(2), 198–229. https://doi.org/10.1037/bul0000025
- Lo, A. W., Repin, D. V., & Steenbarger, B. N. (2005). Fear and Greed in Financial Markets: A Clinical Study of Day-Traders. American Economic Review, 95(2), 352–359. https://doi.org/10.1257/000282805774670095
- Lieberman, M. D., Eisenberger, N. I., Crockett, M. J., Tom, S. M., Pfeifer, J. H., & Way, B. M. (2007). Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. Psychological Science, 18(5), 421–428. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2007.01916.x
- Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation Intentions and Goal Achievement: A Meta-analysis of Effects and Processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69–119. https://doi.org/10.1016/S0065-2601(06)38002-1
- Tversky, A., & Kahneman, D. (1971). Belief in the law of small numbers. Psychological Bulletin, 76(2), 105–110. https://doi.org/10.1037/h0031322
- MetaQuotes. Executing Trades (Trading history) — MetaTrader 5 Help. https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/trading/performing_deals
- MetaQuotes. Trading Report — MetaTrader 5 Help. https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/trading/report
- MetaQuotes. Account History — MetaTrader 4 Help. https://www.metatrader4.com/en/trading-platform/help/overview/terminal/terminal_account_history