先に、言葉の確認
- プロップファーム: 会社の資金で取引できる口座を提供する会社。多くは、まず評価(チャレンジ)の口座で規則を守って目標に届くと、資金を受け取った口座に進む仕組みです。
- 1日の損失の上限: 1日のうちに、ここまで減ったら違反という線。
- 最大ドローダウン: 口座全体で、ここまで減ったら違反という線。
- 下限: 口座がそこまで下がってはいけない額。この記事では「上限に届く=下限まで下がる」という意味で使います。
- 有効証拠金(エクイティ): 残高に、持っているポジションの含み損益を足した額。
- 違反(ブリーチ): 上限に届くこと。会社によって、失格になったり、その日の取引が止まったりします。
- サーバー時間・UTC・夏時間: サーバー時間は、取引の画面が使う時計です。UTC は世界の時刻の基準です。夏時間は、夏の間だけ時計を1時間進める国・地域の決まりです。
- スワップ: ポジションを日をまたいで持った時につく金利の調整。宗教上の理由などで、スワップのない口座を使う人もいます。
この記事は、2026年10月時点で、欧州・英国・米国・中東などの8社(そのうち先物は1社)が公開している規則を確かめて書いています。特定の会社をすすめないため、会社の名前は出しません。規則は会社によって違い、変わることがあり、同じ会社でもプランによって違います。ご自身の会社の規則を確かめてください。例の金額は口座の通貨で、5,000 でも 100,000 でも同じ考え方です。
1日の損失の上限: 何を基準に測るか
同じ「1日5%」でも、どこから測るかで、その日に使える幅が変わります。確かめた範囲では、主に次の3つの型がありました。例は、最初の残高 10,000、1日の上限 5% の場合です。
型1: 幅は最初の残高の%。下限は、その日の始まりの残高から
幅はいつも 10,000 × 5% = 500 です。前の日に増えて、その日が残高 10,400 で始まったなら、その日の下限は 10,400 − 500 = 9,900 です。最初の残高(10,000)より上でも、その日の下限に届けば違反になります。
型2: その日の始まりの「残高」と「有効証拠金」の高い方から
その日が残高 10,400 で始まり、含み益 +200 のポジションを日をまたいで持っていると、始まりの有効証拠金は 10,600 です。
高い方の 10,600 から測るので、幅 500 なら下限は 10,100 です。持っているポジションの含み益がなくなるだけで、その日の幅を使い始めることになります。
型3: 型2と同じ基準で、幅もその額の%
基準は型2と同じ「高い方」の 10,600 で、幅も 10,600 × 5% = 530 になります。下限は 10,600 − 530 = 10,070 です。
含み損・手数料・スワップは数えるか
確かめた会社の多くは、決済した損益だけでなく、持っているポジションの含み損も合わせて上限を判定していました。決済していなくても、含み損が上限に届いた時点で違反になる、ということです。手数料やスワップを含めると書いている会社もあれば、書いていない会社もありました。
1日は、何時に区切られるか
確かめた会社の区切りは、「サーバー時間(UTC+2/UTC+3)の0時」「米国東部時間の17時」「中央ヨーロッパ時間の0時」「米国中部時間の17時」などでした。サーバー時間の0時と米国東部時間の17時は、同じ時刻です。各地の時刻に直すと、次のとおりです。
- シカゴ: 16時(一年中)
- ニューヨーク: 17時(一年中)
- サンパウロ: 19時(米国の夏時間の間は 18時)
- ロンドン: 22時(ほぼ一年中)
- ラゴス: 23時(米国の夏時間の間は 22時)
- ドバイ: 夜中の2時(米国の夏時間の間は 1時)
- ニューデリー: 夜中の3時30分(米国の夏時間の間は 2時30分)
- マニラ: 朝6時(米国の夏時間の間は 5時)。フィリピンには夏時間はありません
- 東京: 朝7時(米国の夏時間の間は 6時)
- シドニー: 朝7時〜9時(米国とオーストラリアの夏時間の時期で変わります)
米国中部時間の17時は、この1時間後です(米国東部時間の18時)。中央ヨーロッパ時間の0時は、ニューヨークで18時・ロンドンで23時(どちらもほぼ一年中)、ドバイで夜中の3時、ニューデリーで夜中の4時30分、東京で朝8時です(ドバイ・ニューデリー・東京は、欧州の夏時間の間はそれぞれ1時間早くなります)。米国と欧州の夏時間の切り替えの日がずれる数週間は、1時間違うことがあります。
ほかの地域にお住まいの方は、サーバー時間の換算で、MT4/MT5 のサーバーの時刻があなたの地域で何時かを確かめられます。
上限に届いたら、どうなるか
確かめた範囲では、届いた時点で失格(口座を失う)という会社と、ポジションが決済され、その日だけ取引が止まるという会社がありました。同じ会社でも、評価の口座と資金を受け取った後の口座で違うことがあります。
最大ドローダウン: 固定型と追従型
口座全体の上限(最大ドローダウン)にも、いくつかの型があります。例は、最初の残高 10,000、幅 600(最初の残高の6%)の場合です。
固定型
下限は 9,400 で、ずっと動きません。増えた分は、そのまま余裕になります。
追従型(最高値に合わせて下限が上がる)
最高値に合わせて、下限も上がっていきます。残高が 10,500 まで増えた時点で、下限は 10,500 − 600 = 9,900 です。そこから 10,000 まで戻ると、余裕は 100 しかありません。最初の残高より上にいても、余裕は少なくなっていることがあります。
追従が途中で止まる型
下限が最初の残高(10,000)まで上がったところで、それ以上は上がらなくなる型です。この例では、残高が 10,600 に届くと下限は 10,000 で止まり、その後 10,800 になっても下限は 10,000 のままです。
何に合わせて追従するか
追従型でも、何の最高値に合わせるかは会社によって違い、規則にはっきり書いていない会社もありました。
- 決済した残高の最高値: 含み益だけでは下限は上がりません。
- 幅が最高値の%で決まる型: 幅が最初の残高ではなく、最高値に対する%で決まる会社もありました。たとえば最高値 10,400 で幅 6% なら、下限は 10,400 × 94% = 9,776 です。
- その日の終わりの値: 1日の途中の動きでは上がらず、日の終わりの値(残高か有効証拠金かは会社による)で下限が決まります。
- もし含み益を含む値で追従する場合は、決済していない含み益でも下限が上がります。たとえば含み益で 10,300 まで行った後に、損益ゼロで決済すると、残高は 10,000 でも下限は 9,700 になり、余裕は 300 です。
先物のプロップファームでは
先物のプロップファームには、上限を%ではなく金額で決め、その日の終わりの値で追従する型があります。1日の損失の上限も、金額で決まっていることがあります(例: 1,000)。確かめた会社の1つは、評価の口座で、米国中部時間の17時に1日を区切り、日の終わりの残高の最高値に合わせて下限を上げ、下限が最初の残高に届くと止まる仕組みでした。一方で、1日の途中の含み損益は、その場で下限と比べられていました。
例として、口座 50,000、幅 2,000 の場合:
- 最初の下限は 50,000 − 2,000 = 48,000。
- ある日、途中で 51,500 まで行ったが、日の終わりは 51,000 で終えた。次の日の下限は 51,000 − 2,000 = 49,000(途中の 51,500 では上がらない)。
- 次の日、含み損で有効証拠金が 49,000 に届くと、その時点で違反になる。下限は日の終わりにしか上がらないのに、含み損はその場で数えられる、という組み合わせに注意が要ります。
- 日の終わりの残高が 52,000 まで行くと、下限は 50,000(最初の残高)で止まり、それ以上は上がらない。
この数字は説明のための例です。資金を受け取った後の口座では仕組みが違うこともあります。先物では、ほかに持てる枚数の上限、1日の利益の偏りについての規則、1日の上限に届いた時に失格かその日だけ停止かも、規則で確かめておくと安心です。
会社の上限の手前に、自分の線を引く
会社の上限は、越えてはいけない線です。その手前に、もっと厳しい自分の上限を決めておくと、会社の線に触れる前に止まりやすくなります。
- 自分の1日の上限を金額にする: 損失の上限の計算で、1回の許容損失なら1日の上限に何回の負けで届くかも分かります。
- 連敗がどれくらい起きやすいか: 連敗の確率と、記事連敗が続いた時、確率で見る。
- 1日の利益の偏りの規則(一貫性ルール)がある時: プロップの一貫性ルールの計算で、一番の日が利益の何%かを確かめられます。自分の成績全体は取引履歴の統計でまとめて見られます。
- 減った後に取り返そうとしない: 取り返しトレードのやめ方。
どの型でも、ご自身の会社の規則の文で確かめるのが一番確実です。分からない所は、会社のサポートに聞いておくと安心です。
確かめた規則について
この記事は、2026年10月時点で各社が公開している規則のページを確かめて書きました。特定の会社をすすめないため、会社の名前とリンクは載せていません。規則は会社によって違い、同じ会社でもプランによって違い、変わることもあります。ご自身の会社の規則のページで確かめてください。