ハウスマネー効果とは
1990年の論文は、先に得をした後にリスクを取りやすくなることを「ハウスマネー効果」と呼びました。[1] 「ハウスマネー」は、カジノ(ハウス)で勝って手にしたお金のことです。
論文の説明では、この時の損は「もうけが減った」と受け止められます。そのため、自分のお金を失う時ほどは痛く感じないかのようだ、としています。[1]
本物のお金を使った実験
米国の大学の経済学の授業で、本物のお金を使った実験が行われました。[1]
- 先に得をした形で聞く: 「15ドルを得た。次に、半々で4.5ドル得るか失うかの賭けに乗るか」と聞くと、95人のうち77%が乗りました[1]
- 1回にまとめて聞く: 「確実に15ドル」か「半々で19.5ドルか10.5ドル」かを選んでもらうと、111人のうちリスクのある方を選んだのは44%でした[1]
同じ論文では、仮の質問で行った実験でも、先に得をした形では70〜82%、1回にまとめた形では43〜44%と、似た結果でした。[1] どれも学生の実験で、トレードの研究ではありません。
取引の記録を調べた研究
- 台湾の株価指数オプションの市場: 朝に利益が出た人は、午後に平均より大きなリスクを取っていた、という研究があります。[2] この研究は、理論の上では、条件によって前の結果がリスクを増やす場合も減らす場合もある、とも書いています。[2]
- 米国のシカゴの先物取引所: 一方で、自己勘定で取引する人たちは、朝に損をした後に、取り戻そうとして午後に平均より大きなリスクを取っていた、という研究もあります。[3]
つまり、勝った後も負けた後も、その日の前の結果が次の判断に影響することがある、ということです。負けた後の側は取り返しトレードのやめ方にまとめています。
トレードで出やすい場面
たとえば、次のような形で出ることがあります(ここでの例です)。
- 大きく勝った日に「今日はもうプラスだから」と、ロットをいつもより大きくする
- 勝った分を「もうけ」として別に考え、いつもなら入らない場面でも入る
- 月の途中で利益が出ているので、決めていた損失の上限をゆるめる
勝った後でも、次のトレードで失うお金は自分のお金です。勝った後に大きくすることが悪いかどうかは、この記事では決めません。自分の記録で、決めていた通りかを確かめることが目的です。
自分の記録で確かめる(決めるのはご自身)
- 勝った後のロット: 大きく勝った日や連勝の後に、ふだんよりロットが大きくなっていないか
- 勝った後の結果: 勝った後に大きくしたトレードの結果を、ほかのトレードと分けて見る
- 上限の守り方: 利益が出ている日に、決めていた損失の上限や回数の上限を変えていないか
ロットの大きさはロット計算で、1日の損失の上限は損失の上限のツールで確かめられます。今の記録の数字は取引履歴の統計で見られます。どう売買するかは、この記事では決めません。
参考文献
- Thaler, R. H., & Johnson, E. J. (1990). Gambling with the House Money and Trying to Break Even: The Effects of Prior Outcomes on Risky Choice. Management Science, 36(6), 643–660. https://doi.org/10.1287/mnsc.36.6.643
- Liu, Y.-J., Tsai, C.-L., Wang, M.-C., & Zhu, N. (2010). Prior Consequences and Subsequent Risk Taking: New Field Evidence from the Taiwan Futures Exchange. Management Science, 56(4), 606–620. https://doi.org/10.1287/mnsc.1090.1131
- Coval, J. D., & Shumway, T. (2005). Do Behavioral Biases Affect Prices? The Journal of Finance, 60(1), 1–34. https://doi.org/10.1111/j.1540-6261.2005.00723.x