当局が出している注意
- 金融庁(日本): FXや暗号資産の勧誘について、特に「SNSで知り合った方からの投資勧誘に応じて投資した方からの相談が多く寄せられています」と注意を呼びかけています。「自動売買ソフトを使えば、なにもしなくても儲かる」などと言って、FX・バイナリーオプション・暗号資産への投資を一方的に勧めてくる例も挙げています。[1]
- CFTC(米国の商品先物取引委員会): SNS の詐欺の注意として、豪華な旅行や高級車、豪邸の写真がよく使われ、「勝ちトレード」の画面や大きな口座残高の画像が載せられることもある、と書いています。[2]
- FCA(英国の金融行為監督機構): 2024年に業者と「フィンフルエンサー」(お金の話を発信するインフルエンサー)に向けた注意で、正しい許可を持つ FCA の認可業者の承認なしに金融商品を宣伝すると、犯罪になりうる、としています。[7]
- ASIC(オーストラリア証券投資委員会): SNS のインフルエンサー向けの資料(INFO 269、2022年3月)で、金融商品の助言をするインフルエンサーは、免除や代理人としての許可がない限り免許が必要で、金融商品について話すことでお金や見返りを受け取っていると、助言をしていると見られやすくなる、としています。受け取ったお金や見返りを、フォロワーに開示しなければならないことがある、とも書いています。[8]
なぜ口座開設を勧めるのか(紹介の仕組み)
業者に客を紹介する人や会社を、IB(イントロデューシング・ブローカー)やアフィリエイトと呼びます。米国の NFA は、IB を、客から注文を集めたり受けたりするが、客のお金は預からない者と説明しています。[3]
英国の FCA は、CFD を扱う業者が、SNS のインフルエンサーなどの無許可の紹介者にお金を払って客を紹介させていることや、客が自分のためにならないほど多く・大きく取引すると業者が大きくもうかる、という問題を指摘しています。[4] 欧州の ESMA も、関係者どうしの報酬が、客のためにならない行動を促すことがあるので、利益の相反を管理しなければならない、としています。[5]
つまり、紹介する人の報酬が、紹介した人の口座開設や取引の量に応じて決まる仕組みの場合、紹介する人は、あなたが口座を作り、たくさん取引するほど得をすることがあります。勧める理由が、あなたの利益とは別の所にあるかもしれない、ということです。
紹介の報酬を受け取ることが、いつも悪いわけではなく、決まりは国によって違います。報酬を受け取っていると明記し、成績を確かめられる形で出している人もいます。この記事は、発信する人みんなを悪く言うものではありません。大事なのは、報酬が開示されているかと、成績を確かめられるかです。
SNSで発信する人の成績を調べた研究
株の投資について、ある1つのSNSに投稿する人を調べた研究(スイス金融研究所 SFI のワーキングペーパーとして公表)では、勧めた銘柄がその後どうなったかで発信する人を分けると、勧めが当たった人が28%、はっきりした差がない人が16%、勧めた銘柄が逆に動いた人が56%でした。そして、逆に動いた人のほうが、当たった人よりフォロワーが多い傾向が見られました。[6]
これは株の投稿の研究で、FX の発信にそのまま当てはまるとは限りません。ただ、フォロワーの多さは、成績の良さの証明にはならないことを示す結果の1つです。
勧められた時に確かめること(決めるのはご自身)
- 報酬を受け取っているか: 紹介のリンクやコードがあるか、報酬を受け取っていると書いてあるか
- 成績は確かめられるか: 画面の画像だけか。負けた取引も含めた全部の記録か
- 業者は登録しているか: 勧められた業者が、住んでいる国の当局に登録しているか(金融庁に登録していない業者の注意点)
- どの会社で、どこの当局か: 口座の契約書で会社の正式な名前と、業者が名乗る当局を確かめ、その当局の登録簿で同じ名前を探す(業者の登録の調べ方)
- 「なにもしなくても儲かる」と言っていないか: 金融庁が注意の例に挙げている言い方です[1]
困った時や、損をしてしまった時は、一人で抱えずに相談できます。日本に住んでいる方は金融庁の金融サービス利用者相談室など、日本の外に住んでいる方は住んでいる国の金融の当局が相談先です。金融庁の相談室は、投資の商品や暗号資産の相談も受け付けています。[11] たとえばオーストラリアでは、ASIC が、投資詐欺も含めて詐欺はすべて Scamwatch に通報するよう案内しています。[9] 金融の業者への苦情は、まずその業者に出します。ASIC は、紛争解決の決まりの対象の業者はオーストラリア金融苦情機関(AFCA)に加入しなければならず、AFCA は業者が解決できなかった苦情を扱える、としています。[10] 頼る前に、その業者が AFCA に加入しているか確かめてください。誰かのやり方を試すかどうかは、この記事では決めません。試した時は、自分の記録で結果を確かめると、勧められた成績と比べられます。損益の一覧は取引履歴の統計で、勝率や平均の損益にまとめられます。
参考文献
- 金融庁. 「FX取引・暗号資産投資の勧誘」にご注意!! https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/husyouseikanyuu.html
- Commodity Futures Trading Commission. There's Nothing to Like About Scammers on Social Media. https://www.cftc.gov/ConsumerProtection/FraudAwarenessPrevention/CFTCFraudAdvisories/nothing_to_like_about_social_media_scammers.html
- National Futures Association. Introducing Broker. https://www.nfa.futures.org/registration-membership/who-has-to-register/ib.html
- Financial Conduct Authority. Contracts for Difference. https://www.fca.org.uk/firms/contract-for-differences
- European Securities and Markets Authority. (2016). ESMA publishes updated Q&A on CFDs and other speculative products. https://www.esma.europa.eu/press-news/esma-news/esma-publishes-updated-qa-cfds-and-other-speculative-products
- Kakhbod, A., Kazempour, S. M., Livdan, D., & Schürhoff, N. (2023). Finfluencers. Swiss Finance Institute Research Paper No. 23-30. https://sfi.ch/de/publications/n-23-30-finfluencers
- Financial Conduct Authority. (2024年3月26日). FCA warns firms and finfluencers to keep their social media ads lawful. https://www.fca.org.uk/news/press-releases/fca-warns-firms-and-finfluencers-keep-their-social-media-ads-lawful
- Australian Securities and Investments Commission. (2022年3月). Discussing financial products and services online (INFO 269). https://www.asic.gov.au/regulatory-resources/financial-services/giving-financial-product-advice/discussing-financial-products-and-services-online
- Australian Securities and Investments Commission. Scams. https://www.asic.gov.au/regulatory-resources/scams
- Australian Securities and Investments Commission. Dispute resolution. https://asic.gov.au/regulatory-resources/financial-services/dispute-resolution/
- 金融庁. 金融サービス利用者相談室. https://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/index.html