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バックテストが良くても本番で崩れる理由

バックテストではきれいな右肩上がりだったのに、本番で動かしたら伸びなかった。EA(自動で売買するプログラム)や手法を試したことがある人なら、一度は経験があるかもしれません。理由の1つが「過剰最適化(カーブフィッティング)」です。この記事では、たくさん試すほど偶然良く見えてしまう仕組みを、図と研究で見ていきます。どの手法や設定を使うべきかは、この記事では決めません。

公開 2026年10月13日書いた人: Tiltnote 運営代表 奥村 健児(FX の経験があります)

ひとことで言うと

たくさんの設定や決まりを試して、過去の成績が一番良かったものを選ぶと、本当は実力がなくても、偶然で良く見えることがあります。これを過剰最適化(カーブフィッティング)と呼びます。試した数が多いほど、起きやすくなります。

本番で崩れる理由は、ほかにもあります。スプレッド・滑り・手数料などの費用がバックテストと違うこと(取引の費用の数え方)や、相場の動き方そのものが変わることです。この記事では、そのうちの過剰最適化を見ていきます。

過剰最適化とは

バックテストは、過去の値動きで「この決まりで売買していたらどうなったか」を計算するものです。期間・損切りの幅・インジケーターの設定などを変えながら何度も試すと、その中には、たまたま過去の値動きにぴったり合ったものが出てきます。

そうした設定は、過去のその期間の「偶然の形」に合わせただけのことがあります。その場合、別の期間や本番では、同じように伸びるとは限りません。

でたらめな値動きに、でたらめな決まりを200通り当てはめ、前半の期間で一番成績が良かった決まりの損益の線。前半は右肩上がりだが、使っていない後半では伸びない。
作った例。値動きも200通りの決まりも、すべてでたらめ(コイン投げ)です。前半で1位になった決まり(太い青の線。細い線はほかの決まりの一部)は前半では大きく伸びましたが、選ぶのに使っていない後半では伸びず、むしろ下がりました。

図の決まりはどれも、コインを投げて買いか売りかを決めているだけで、実力はありません。それでも、200通りの中で一番良いものを選ぶと、前半だけを見れば「良い決まり」に見えます。

研究で示されていること

バックテストの過剰最適化を数学で調べた論文では、次のようなことが示されています。[1]

これらは、値動きを単純な形と仮定した計算です。実際の相場がこの前提どおりとは限りません。ただ、「たくさん試して一番良いものを選ぶ」こと自体が、成績を良く見せる方向に働くという点は、覚えておく価値があります。

MT5 でできる確かめ方

MT5 のストラテジーテスターには、設定を変えながら何度も走らせる「最適化」と、別の期間で走らせ直す「フォワードテスト」があります。MT5 のヘルプでは、フォワードテストは、過去のデータの特定の部分に設定を合わせすぎるのを避けるための機能と説明されています。テスターの設定の「フォワード」で、指定した期間のうち半分・3分の1・4分の1をフォワードテストに回すか、フォワードの開始日を自分で決められます。[2] ほかの検証の道具にも、別の期間で確かめる方法があります(名前や手順は道具によって違います)。

ただし、フォワードの期間で良かったとしても、それは確かめの1つで、これからの結果を約束するものではありません。フォワードの結果を見て設定を直し、また試す、をくり返すと、フォワードの期間にも合わせ込んでいくことになります。

自分でできること(決めるのはご自身)

どの手法や設定を使うかは、この記事では決めません。バックテストの結果を見る時に、次のことを記録しておくと、過剰最適化に気づきやすくなります。

損益の一覧は取引履歴の統計で、勝率・平均の損益・最長の連敗にまとめられます。勝率がそのままでも連敗がどれくらい起きるかは連敗の確率で確かめられます。費用の引き忘れや足の中の順番など、測り方の間違いで「勝ち」が見える例は、バックテストで「勝てそう」に見える時の落とし穴にまとめています。

参考文献

  1. Bailey, D. H., Borwein, J. M., López de Prado, M., & Zhu, Q. J. (2014). Pseudo-Mathematics and Financial Charlatanism: The Effects of Backtest Overfitting on Out-of-Sample Performance. Notices of the American Mathematical Society, 61(5), 458. https://doi.org/10.1090/noti1105(著者の公開版: https://www.davidhbailey.com/dhbpapers/backtest-pseudo.pdf)
  2. MetaQuotes. Strategy Testing(MetaTrader 5 ヘルプ). https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/algotrading/testing

この記事で使えるツール

バックテストと本番の結果を、並べて残す。

Tiltnote は、手入力の記録なら無料で使えるトレード日記です。トレードごとに手法の名前・「そのときの気持ち」・「ルールを守れたか」・メモを残せるので、手法の名前に設定まで書いておけば、本番の結果を後から見返して、バックテストと比べられます。

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更新日 2026年10月20日 · 運営: Tiltnote 運営代表 奥村 健児 · このサイトについて