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FX 初心者講座第32回 全32回講座の目次

FX 初心者講座

損失回避とは。同じ額でも損を重く感じる心のくせ

1万円もうかった時のうれしさより、1万円損した時のつらさのほうが大きい。そう感じたことはありませんか。これを損失回避と呼びます。この記事では、研究での意味と数字、トレードで「利確が早くなる」形での現れ方、自分の記録で確かめる方法をまとめます。どう売買するかは書きません。

公開 2026年10月14日更新 2026年10月21日書いた人: Tiltnote 運営代表 奥村 健児(FX の経験があります)

ひとことで言うと

損失回避は、同じ額でも、得より損を重く感じる心のくせです。[1] ある実験では、損は同じ額の得の約2.25倍の重さで感じられていました(米国の大学院生25人の中央値)。[2] 米国の株の個人口座の研究では、値上がりした株のほうが、値下がりした株より売られやすい傾向も見られました。[4]

損失回避とは

プロスペクト理論を示した論文は、損失回避を「損は得より大きく感じられる」と説明し、お金を失う時のつらさは、同じ額を得る時のうれしさより大きいようだ、と書いています。[1] 同じ論文は、「勝てば x、負ければ x を失う、五分五分の賭け」を、多くの人がはっきり受けたくないと感じる、とも書いています。[1]

同じ額の得と損の、心の感じ方。得を1とすると、損は約2.25。米国の大学院生25人の実験の中央値で、人や場面で違う。
得を1とした時の、損の感じ方。米国の大学院生25人の実験の中央値で、人や場面で違います。

どれくらい重く感じるのか

同じ著者たちの後の研究では、意思決定の特別な訓練を受けていない、米国の大学院生25人で実験しました。その中央値で、損は同じ額の得の約2.25倍の重さで感じられており、論文は「はっきりした損失回避」と書いています。[2]

英国の金融行為監督機構(FCA)の論文も、心理的には、損は同じ大きさの得のおおよそ2倍に感じられる、と書いています。[3] ただし、2.25 は25人の実験の中央値で、人や場面で違います。だれでも必ず2.25倍、という意味ではありません。

53か国で調べた研究では、損失回避の強さは文化によって違う、という結果も出ています。[5] また、今ある証拠からは、損が得より強く響くとは全体として言えない、とする論文もあります。[6]

トレードでは「利確が早くなる」形と結びつけて語られる

米国の証券会社の個人口座1万件(1987〜93年、株)を調べた研究では、買った値段より上がっている株(含み益の株)は、下がっている株(含み損の株)に比べて、売られる割合が約1.5倍でした。[4] この研究は、こうした売り方が、その後の成績から見ても理にかなっていなかった、と書いています。[4] この傾向はディスポジション効果と呼ばれ、損失回避を含むプロスペクト理論は、その説明の一つとされています(原因と確かめられたわけではありません)。

FX でも、たとえば次のような形で出ることがありそうです(ここでの例です)。

勝ちが小さく、負けが大きくなると、勝率が高くても合計がマイナスになることがあります。勝率と損益の比の関係は、リスクリワードと損益分岐の勝率にまとめています。これらは株や実験の研究で、FX にそのまま当てはまるとは限りません。

自分の記録で確かめる(決めるのはご自身)

損失回避は、その場では気づきにくいので、記録で比べると見えやすくなります。

損益の一覧は取引履歴の統計で、平均の勝ちと負けにまとめられます。どう売買するかは、この記事では決めません。

参考文献

  1. Kahneman, D., & Tversky, A. (1979). Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk. Econometrica, 47(2), 263–291. https://doi.org/10.2307/1914185
  2. Tversky, A., & Kahneman, D. (1992). Advances in Prospect Theory: Cumulative Representation of Uncertainty. Journal of Risk and Uncertainty, 5(4), 297–323. https://doi.org/10.1007/BF00122574
  3. Erta, K., Hunt, S., Iscenko, Z., & Brambley, W. (2013). Applying behavioural economics at the Financial Conduct Authority. FCA Occasional Paper No. 1. https://www.fca.org.uk/publication/occasional-papers/occasional-paper-1.pdf
  4. Odean, T. (1998). Are Investors Reluctant to Realize Their Losses? The Journal of Finance, 53(5), 1775–1798. https://doi.org/10.1111/0022-1082.00072
  5. Wang, M., Rieger, M. O., & Hens, T. (2017). The Impact of Culture on Loss Aversion. Journal of Behavioral Decision Making, 30(2), 270–281. https://doi.org/10.1002/bdm.1941
  6. Gal, D., & Rucker, D. D. (2018). The Loss of Loss Aversion: Will It Loom Larger Than Its Gain? Journal of Consumer Psychology, 28(3), 497–516. https://doi.org/10.1002/jcpy.1047

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更新日 2026年10月21日 · 運営: Tiltnote 運営代表 奥村 健児 · このサイトについて