大きく2つの種類
- トレンド系: 価格のチャートに重ねて表示し、動きの向きや幅を見やすくするもの(移動平均、ボリンジャーバンド、一目均衡表)
- オシレーター系: チャートの下の別の枠に表示し、動きの勢いや大きさを数字で表すもの(RSI、MACD、ストキャスティクス、ATR)
分け方はアプリによって違い、ATR は「ボラティリティ系」(値動きの大きさを表すもの)とされることもあります。設定の数字(期間)も、アプリや人によって違います。この記事の数字は、考えた人が示した値や、よく使われる値の例です。おすすめの設定ではありません。MetaTrader 5、TradingView など、どのアプリにも同じ名前の指標がありますが、初期値や計算が少し違うことがあります。
移動平均(SMA・EMA)
何を表すか: 一定の本数の価格の平均を、線でつないだものです。細かい上下をならして、動きの向きを見やすくします。
計算: 単純移動平均(SMA)は、直近 N 本の終値を足して N で割ります。指数移動平均(EMA)は、新しい価格ほど重く数える平均で、EMA = 今の終値 × P + 1本前の EMA × (1 − P) です。[1] P は、よく P = 2 ÷ (N + 1) とされます。
気をつけること: 平均なので、価格より遅れて動きます。期間を長くするほど、なめらかになる代わりに遅れが大きくなります。
RSI(相対力指数)
何を表すか: 一定の期間の上げ幅と下げ幅を比べて、0〜100 の数字で表します。上げが多いほど 100 に、下げが多いほど 0 に近づきます。J. Welles Wilder Jr. が 1978年の本で示しました。[2]
計算: RSI = 100 − 100 ÷ (1 + 平均の上げ幅 ÷ 平均の下げ幅)。Wilder は期間 14 を勧めました。[3]
気をつけること: 70 以上を「買われすぎ」、30 以下を「売られすぎ」と呼ぶことがあります。ただ、強い動きの時は、70 を超えたまま上がり続けることも、30 を下回ったまま下がり続けることもあります。
MACD
何を表すか: 短い期間の EMA と、長い期間の EMA の差です。2本の平均が離れていくか、近づいていくかを見られます。
計算: MACD = EMA(12) − EMA(26)。シグナル線は MACD の 9本の平均です。MetaTrader 5 ではシグナル線に単純移動平均を使いますが、EMA を使うアプリもあります。[4] MACD とシグナル線の差を棒グラフ(ヒストグラム)で表示するアプリもあります。MetaTrader 5 では、MACD そのものが棒で、シグナル線が線で表示されます。
気をつけること: 移動平均から作るので、価格より遅れて動きます。アプリによって計算が少し違うので、同じ設定でも値がずれることがあります。
ボリンジャーバンド
何を表すか: 移動平均の上下に、値動きのばらつき(標準偏差)の分だけ離した線を引いたものです。値動きが大きいとバンドの幅が広がり、小さいと狭くなります。John Bollinger が考えました。[5]
計算: 真ん中の線 = 20本の単純移動平均。上の線と下の線 = 真ん中の線 ± 2 × 標準偏差(20本)。標準偏差は、値が平均からどれくらい散らばっているかを表す数字です。[6]
気をつけること: 考えた Bollinger 本人のルールでは、バンドに触れることは「触れた」というだけで、それだけで売りや買いの合図ではないとされています。20 と 2 も、決まった値ではなく、最初の設定です。[5]
ATR(平均真の値幅)
何を表すか: 1本あたり、どれくらい値が動いているか(ボラティリティ)を表します。向きは表しません。RSI と同じく Wilder が 1978年の本で示しました。[2]
計算: まず1本ごとに「真の値幅」を出します。①その足の高値 − 安値、②前の足の終値と高値の差、③前の足の終値と安値の差、のうち一番大きいものです。ATR は、その平均です。[7]
気をつけること: ATR は価格の単位で出るので、通貨ペアごとに大きさが違います。損切りの幅を考える時に、ATR を見る人もいます。損切りの幅が決まったら、ロット計算で、損失の額からロット数を出せます。
ストキャスティクス
何を表すか: 直近の一定期間の高値と安値の間で、今の終値がどのあたりにあるかを 0〜100 で表します。
計算: %K = (今の終値 − N本の最安値) ÷ (N本の最高値 − N本の最安値) × 100。%D は %K の平均です。[8] 期間の初期値はアプリによって違います。
気をつけること: RSI と同じく、80 以上・20 以下などを目安に呼ぶことがありますが、強い動きの時は、その範囲に張り付いたままになることがあります。
一目均衡表
何を表すか: 5本の線で、動きの向き・値の中心・過去と今の関係をまとめて表します。先行スパンの2本の間を塗った部分は「雲」と呼ばれます。MetaTrader 5 にも入っています。[9]
計算(よく使われる 9・26・52 の例):
- 転換線 = (9本の最高値 + 9本の最安値) ÷ 2
- 基準線 = (26本の最高値 + 26本の最安値) ÷ 2
- 先行スパン A = (転換線 + 基準線) ÷ 2 を、26本先に描く
- 先行スパン B = (52本の最高値 + 52本の最安値) ÷ 2 を、26本先に描く
- 遅行スパン = 今の終値を、26本前に描く
気をつけること: 線が多いので、最初はどの線が何を計算しているかを1本ずつ確かめると分かりやすくなります。
どれにも共通すること
- どれも過去の価格から計算しています。同じ値でも、その後の動きは毎回違います。
- 同じ名前でも、アプリや設定で値が変わることがあります。使っているアプリの説明を確かめてください。
- インジケーターを増やしても、判断が楽になるとは限りません。使うものを決めたら、どれを根拠に入ったかを記録しておくと、後で見返せます(トレード日記に何を書くか)。
線を引く計算をしたい時は、ピボットの計算やフィボナッチの計算も使えます。言葉が分からない時は、FX 用語集をどうぞ。
参考文献
- MetaTrader 5 Help. Moving Average. https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/indicators/trend_indicators/ma
- Wilder, J. W., Jr. (1978). New Concepts in Technical Trading Systems. Trend Research.
- MetaTrader 5 Help. Relative Strength Index. https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/indicators/oscillators/rsi
- MetaTrader 5 Help. MACD. https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/indicators/oscillators/macd
- Bollinger, J. Bollinger Band Rules. https://www.bollingerbands.com/bollinger-band-rules
- MetaTrader 5 Help. Bollinger Bands. https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/indicators/trend_indicators/bb
- MetaTrader 5 Help. Average True Range. https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/indicators/oscillators/atr
- MetaTrader 5 Help. Stochastic Oscillator. https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/indicators/oscillators/so
- MetaTrader 5 Help. Ichimoku Kinko Hyo. https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/indicators/trend_indicators/ikh