どうやって線を引くのか
よくあるのは、過去に何度か価格が止まった所を横線でつなぐ方法です。ただ、「止まった所」をどこで測るかで、線の高さが変わります。
- ローソク足のひげの先(高値・安値)でそろえる
- ローソク足の実体(始値・終値)でそろえる
- 切りのいい数字(.00 や .50 など)に引く
どの引き方にも決まりはないので、2人が同じチャートを見ても、違う線を引くことはよくあります。ローソク足の見方はローソク足の見方、言葉の意味は用語集も参考にしてください。
研究で分かったこと
為替の会社が顧客に毎日出していたサポート・レジスタンスの水準が、実際に役に立ったのかを調べた研究があります。[1]
- 調べたもの: 6つの会社(銀行や情報を配る会社)が、1996年1月〜1998年3月に毎日公表した、米ドルとドイツ・マルク(今のユーロより前の通貨)、日本円、英ポンドの水準。ニューヨーク時間の9時〜16時の1分ごとの値動きと照らしました
- 比べた相手: 同じ日に、ランダムな場所に置いた水準(1万通り)
- 「跳ね返った」の決め方: 価格が水準の0.01%以内に届き、15分後もまだ水準の手前側にあった場合
- 結果: 価格が水準に届いた後に跳ね返った割合は、公表された水準で平均60.8%(勝率ではなく、止まった割合です)、ランダムに置いた水準で平均56.2%でした。公表された水準の方が跳ね返りやすく、その差は統計的にも偶然では説明しにくい(有意な)ものでした
- ばらつき: 会社によって、また通貨ペアによって、結果には大きな差がありました。公表から5営業日後も、少し弱まりながら、役に立つ傾向は残っていました(統計的に有意だったのは、会社と通貨の16の組み合わせのうち9つ)
- 会社どうし: 同じ日の水準は、会社どうしであまり一致していませんでした。6社のうち3社が付けていた「この水準は強い」という目安は、役に立っていませんでした
注意したいのは、ランダムに置いた水準でも、半分以上は「跳ね返った」ように見えたことです。線で止まったように見えても、それだけで「この線が効いた」とは言えません。また、これは1990年代後半の、米ドルと3つの通貨の組み合わせ・6社・ニューヨークの日中だけの結果です。今の相場や、自分の引いた線にも同じことが言えるとは限りません。
なぜ止まることがあるのか(説明の1つ)
同じ研究者が、ある銀行の注文のデータを調べた別の研究では、利益確定の注文は切りのいい数字に、損切りの注文は切りのいい数字のすぐ外側に、特に多く集まっていました。これが、価格が切りのいい数字で止まりやすいことや、そこを抜けると勢いがつきやすいことを説明しうる、と報告されています。[2] あくまで説明の1つで、いつもそうなるという意味ではありません。
自分の線を確かめる(決めるのはご自身)
どこに線を引くか、線を使うかどうかは、この記事では決めません。使うなら、次のことを記録しておくと、自分の線がどうだったかを後から数で見られます。
- どこに線を引いたか(価格)と、何で引いたか(高値・実体・切りのいい数字 など)
- 価格がその線に届いた時、止まったか、抜けたか
- その線を見て入ったトレードの結果
線を引く時の計算は、ピボットの計算やフィボナッチの計算で出せます(どちらも計算をするだけで、売買の合図ではありません)。記録した損益の一覧は、取引履歴の統計で、勝率や平均の損益にまとめられます。件数が少ないうちは、数字は大きくぶれます。
参考文献
- Osler, C. L. (2000). Support for Resistance: Technical Analysis and Intraday Exchange Rates. Federal Reserve Bank of New York Economic Policy Review, 6(2), 53–68. https://www.newyorkfed.org/medialibrary/media/research/epr/00v06n2/0007osle.pdf
- Osler, C. L. (2003). Currency Orders and Exchange Rate Dynamics: An Explanation for the Predictive Success of Technical Analysis. The Journal of Finance, 58(5), 1791–1819. https://doi.org/10.1111/1540-6261.00588