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ドローダウンと回復の算数

口座が大きく減った後、「あと何%増やせば元に戻るか」を数えたことはありますか。先に答えを書くと、50%減ったら、元に戻すには残りの残高を2倍(+100%)にする必要があります。20%減なら+25%、75%減なら+300%です。減った割合より、戻すのに必要な割合のほうが大きくなります。この記事では、その計算と表、大きく減った後にロットを上げる危うさ、1回のリスクを小さくした時の減り方、自分の最大ドローダウンの調べ方をまとめます。

公開 2026年10月19日書いた人: Tiltnote 運営代表 奥村 健児(FX の経験があります)

まず1つだけ

ドローダウンとは

ドローダウンは、口座の残高(または有効証拠金)が、それまでの一番高い所から下がった幅のことです。一番高かった所から、その後の一番低い所までを「最大ドローダウン」と呼びます。ここでは、減った割合を「ドローダウン」と呼びます。

なぜ、戻すには減った割合より多く必要なのか

減る時は「元の大きい残高」に対する割合で減り、戻す時は「減って小さくなった残高」に対する割合で増やすからです。

残高を100とします。50%減ると50になります。ここから50増やして100に戻すには、今の残高50に対して50÷50で、+100%が必要です。

式にすると、次のとおりです。

戻すのに必要な利益率 = 1 ÷ (1 − 減った割合) − 1
  • 20%減(0.2): 1 ÷ 0.8 − 1 = 0.25 → +25%
  • 50%減(0.5): 1 ÷ 0.5 − 1 = 1.0 → +100%

「20%減って、次に20%増えれば元に戻る」と考えやすいのですが、そうはなりません。100が20%減ると80、80が20%増えても96です。元に戻るには、80を100にする分、+25%が要ります。

減った割合ごとの、必要な利益率の表

下の表は、上の式を、減った割合ごとに計算したものです。右の2列は、口座が10万円の場合の例です(例であり、特定の金額をすすめるものではありません。ほかの通貨の口座でも、割合は同じです)。戻すのに必要な金額は、減った金額と同じです。

表は横にずらして見られます →

減った割合戻すのに必要な利益率例: 減った後の残高例: 戻すのに必要な金額
5%+5.3%95,000円5,000円
10%+11.1%90,000円10,000円
20%+25%80,000円20,000円
30%+42.9%70,000円30,000円
40%+66.7%60,000円40,000円
50%+100%50,000円50,000円
60%+150%40,000円60,000円
75%+300%25,000円75,000円
90%+900%10,000円90,000円
口座が5%・10%・20%・30%・40%・50%・60%・75%・90%減った時に、元の残高に戻すのに必要な利益率は、5.3%・11.1%・25%・42.9%・66.7%・100%・150%・300%・900%になる棒グラフ。
表の「戻すのに必要な利益率」を棒で並べました。減った割合が大きくなるほど、必要な利益率は急に大きくなります。

10%減までは、戻すのに必要な率との差は1ポイント強です。ところが50%を超えると、必要な率は減った率とどんどん離れ、50%で2倍、75%で4倍、90%で10倍になります。ご自身の数字は、元に戻すのに必要な利益率の計算で確かめられます。(この計算は、入金・出金や手数料を含みません。)

計算の例

数字は例です。おすすめの金額や割合ではありません。

例1: 口座が10万円で、20%減った
  • 残高は80,000円。減った金額は20,000円。
  • 元の100,000円に戻すには、80,000円に対して20,000円、つまり+25%が必要。
例2: 口座が10万円で、50%減った
  • 残高は50,000円。減った金額は50,000円。
  • 元に戻すには、50,000円に対して50,000円、つまり+100%(残高の2倍)が必要。

戻すのに必要な金額は、減った金額と同じです。ただし、残高が小さくなっているので、同じ金額でも、残高に対する割合は大きくなります。

大きく減った後に、ロットを上げて取り戻そうとする危うさ

必要な利益率の大きさを見ると、「1回の取引を大きくして早く戻したい」という気持ちが起きやすくなります。ここで考えておきたいのは、ロット(取引の大きさ)を上げると、利益だけでなく損失も同じ倍率で大きくなる、という点です。戻すのに必要な率が大きいほど、そのぶん大きなロットが必要に見えますが、負けた時に減る割合も、同じように大きくなります。

連敗した時の減り方で、例を比べます。口座が10,000ドル(例)から半分に減って5,000ドルになった後の、5連敗の計算です。1回の負けを、いつも今の残高の同じ割合にした場合です。

(数字は例です。おすすめの割合ではありません。)減った後は、元に戻すまでの道のりがすでに長くなっています。そこでさらに減ると、必要な利益率は、もっと急に大きくなります。

損失を取り返そうとして、ルールにない取引やロットの増加をしてしまうことは、取り返しトレード(リベンジトレード)と呼ばれます。起きる理由と、前もって決めておく「もし〜なら」のルールは、取り返しトレードのやめ方にまとめています。

1回のリスクを小さくすると、減り方はどう変わるか

1回の損失を残高の何%にするかで、連敗した時の減り方と、戻すのに必要な利益率が決まります。下の表は、1回の損失を、いつも今の残高の同じ割合にした場合の、連敗した後の計算です(数字は例で、おすすめの割合ではありません)。

表は横にずらして見られます →

1回の損失5連敗した後10連敗した後20連敗した後
1%−4.9%(戻すのに +5.2%)−9.6%(+10.6%)−18.2%(+22.3%)
2%−9.6%(+10.6%)−18.3%(+22.4%)−33.2%(+49.8%)
5%−22.6%(+29.2%)−40.1%(+67.0%)−64.2%(+179.0%)

半分(50%減)まで減るのに必要な連敗の数も、同じ計算で出せます(1回の損失を今の残高の同じ割合にした場合)。

1回の損失の割合を小さくすると、同じ連敗でも、減る割合も、戻すのに必要な利益率も小さくなります。逆に、割合が大きいと、数回の連敗でも深いドローダウンになります。(この計算は、勝ち負けの回数だけを見ています。1回の損失を小さくすると、1回の利益も小さくなることが多いです。)

連敗は、勝率が50%でも起きます。100回のうちに5連敗以上が一度でも起きる確率は約81%です(勝率が一定で、毎回の結果が独立と仮定した計算)。くわしくは連敗が続いた時、確率で見るにあります。

1日の損失に上限を決めておくと、1日で減る幅に天井ができます。決め方は1日の損失上限の決め方、上限に何回の負けで届くかの計算は損失の上限の計算で確かめられます。

自分の最大ドローダウンは、記録から分かる

最大ドローダウンは、記録があれば計算できます。残高の記録を順に見て、「それまでの一番高い残高」と今の残高の差を、一番高い残高に対する割合で出し、その中で一番大きいものを探します。

例(作った数字です)
  • 残高の推移: 10,000 → 10,800 → 9,720 → 10,200 → 9,500 → 10,900(円・ドルなど、どの通貨でも同じ)
  • 10,800 から 9,720 までは、1,080 の減りで、10,800 に対して 10.0%。
  • 10,800 から 9,500 までは、1,300 の減りで、10,800 に対して約 12.0%。
  • この記録の最大ドローダウンは、約 12.0%(10,800 → 9,500)。

記録の期間が長いほど、最大ドローダウンは深くなることがあります。短い記録の最大ドローダウンは、「その期間では」という数字です。

MT4/MT5 の取引履歴を保存して、損益の一覧を取引履歴の統計に貼ると、最大の下げ幅を含む数字がまとめて出ます。履歴の出し方はMT4/MT5 の取引履歴を保存して振り返るに、記録の書き方はトレード日記に何を書くかにあります。数字だけでなく、大きく減った時期に、ルールが守れていたか・ロットが変わっていなかったかを並べて見ると、次に決めることが見えやすくなります。

決めておくこと

数字は一例です。ご自身の記録と、上の表を見て決めてください。

決めておく例(数字は一例)
  • 1回の損失は、残高の○%まで(今の残高の割合で決める)
  • 残高が最高値から○%減ったら、その日はやめて、記録を見返す
  • 大きく減った後も、1回の損失の割合は上げない
  • 戻すのに必要な利益率を数えてから、次にどうするか決める

トレードの損が、お金・睡眠・家族や人との関係にまで響いているなら、信頼できる人や、お住まいの地域のギャンブルなどの依存の相談窓口に話すことも考えてください。

この記事で使えるツール

自分の最大ドローダウンを、記録から知る。

Tiltnote は、手入力の記録なら無料で使えるトレード日記です。トレードごとの損益と「そのときの気持ち」「ルールを守れたか」を残しておくと、どこで大きく減ったのか、そのとき何が起きていたのかを後から見返せます。

Tiltnote を無料で試す →アプリ(Web 版)が開きます。 無料のプランで見られる分析と履歴は、直近2週間分です(それより前の記録は消えず、有料プランで見られます)。

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更新日 2026年10月20日 · 運営: Tiltnote 運営代表 奥村 健児 · このサイトについて