今の含み損と証拠金維持率は、MT5 なら「ツールボックス」の「取引」タブで見られます。[1] ロスカットになる維持率の水準は業者で違うので、自分の業者の説明で確かめてください。
含み損・含み益とは
たとえば、USD/JPY を 150.00 で買ったとします。今の値段が 149.00 なら、今決済すると損が出ます。この「今決済したら出る損」が含み損です。今の値段が 151.00 なら、含み益です。
まだ決済していないので、この損益は確定していません。値段が戻れば含み損は減り、さらに動けば増えます。含み益も同じで、値段しだいで減ったり、含み損に変わったりします。英語では、floating P&L、unrealized P&L などと呼ばれます。
決済するまで確定しない
MT5 の公式ヘルプでは、口座の「残高」を、今持っているポジションの結果を含まないお金と説明しています。[1] つまり、持っている間は、含み損益があっても残高は変わりません。決済すると損益が確定し、残高に入ります。
持っている間に見るなら、残高ではなく、含み損益を入れた有効証拠金のほうが、今の口座の状態に近い数字です。
MT4/MT5 のどこに出るか
ここではパソコン版の場合を書きます。スマホ版のアプリでは画面の作りが違います。お使いのアプリのヘルプで確かめてください。
- MT5: 「ツールボックス」ウィンドウの「取引」タブに、今持っているポジションの一覧が出ます。[1] 一覧の「損益」の列が、今の値段で計算したそのポジションの損益です。[1] 口座の状態の行には、すべてのポジションの損益の合計も出ます。[1]
- MT4: 「ターミナル」ウィンドウの「取引」タブに、口座の状態と、持っているポジションが出ます。[2] 「損益」の列は、今の値段で計算した取引の結果です。[2]
画面の表示名は、版や言語の設定で少し違うことがあります。画面の全体の見方は取引アプリの画面の見方の回で説明しています。
有効証拠金と維持率への影響
MT5 の公式ヘルプでは、有効証拠金を次の式で計算するとしています。[1]
有効証拠金 = 残高 + クレジット − 手数料 ± 含み損益 − ブロック
ただし、同じヘルプには、有効証拠金に含み益・含み損・その両方のどれを入れるかは、業者が決める取引の条件で違うとも書かれています。[1] 自分の口座の扱いは、業者の説明で確かめてください。
証拠金維持率は「有効証拠金 ÷ 証拠金 × 100」です。[1] 含み損が増えて有効証拠金が減ると、維持率も下がります。
維持率が業者の決めた水準まで下がると、知らせが来たり(マージンコール)、ポジションが自動で決済されたり(ストップアウト。ロスカットとも呼びます)します。MT5 では、口座がどちらかの状態になると、口座の状態の行が赤く表示されます。[1] 自動で決済されると、含み損はその時点で確定します。くわしくは証拠金・有効証拠金・余剰証拠金・維持率とは、マージンコールとストップアウトの違い、ロスカットとはの回で説明しています。
計算の例
どちらも、この記事での計算の例です。どのロットで取引するかを勧めるものではありません。1ロット = 10万通貨の口座とします(ロットとは)。
- 例1 円の口座で USD/JPY を 0.1 ロット買い: 量は 0.1 × 100,000 = 10,000ドル分。150.00 で買い、今の値段が 149.00 なら、含み損は (149.00 − 150.00) × 10,000 = −10,000円です。残高が 100,000円なら、残高は 100,000円のままで、有効証拠金は 90,000円です。必要な証拠金が 60,000円(レバレッジ25倍の例。上限は国・業者で違います)なら、維持率は 90,000 ÷ 60,000 × 100 = 150%です(上の図)。
- 例2 ドルの口座で EUR/USD を 0.05 ロット売り: 量は 0.05 × 100,000 = 5,000ユーロ分。1.0850 で売り、今の値段が 1.0820 なら、売りは値段が下がると得なので、含み益は (1.0850 − 1.0820) × 5,000 = +15ドルです。残高が 1,000ドルなら、残高は 1,000ドルのままで、有効証拠金は 1,015ドルです。ここで決済すると、15ドルが確定し、残高は 1,015ドルになります。
どちらも、スプレッド・手数料・スワップは入れていません。例1の証拠金は、実際には業者の計算や為替のレートで少し変わることがあります。計算のしかたはpips・ロットと損益の計算のしかたの回にまとめています。
スワップと手数料の扱い
MT5 の「取引」タブには、「損益」の列とは別に、「スワップ」の列があります。[1] MT4 の「取引」タブにも、「スワップ」と「手数料」の列があります。[2] MT5 の公式ヘルプでは、手数料をいつ計算するか(日ごと・月ごとなど)は業者の条件で決まると説明しています。[1]
スワップや手数料が、いつ、どの数字に入るかは、業者と口座で違います。「損益」の列だけを見て決済すると、実際に残高に入る額と少し違うことがあります。スワップがかからない口座(スワップフリー口座)を用意している業者もあり、その場合は別の手数料がかかることがあります。スワップのしくみはスワップポイントとは、費用の数え方は取引の費用の数え方の回で説明しています。
含み損を抱えた時に起きやすい心のくせ
含み損は、まだ確定していません。そのため、「戻るまで待てば損はない」と感じやすくなります。研究では、次のような傾向が知られています。
- 人は、同じ額でも、得より損を大きく感じやすく、損が出ている場面では、さらにリスクを取ってでも損を避けたくなりやすい、という考え方があります(プロスペクト理論)。[3]
- 利益の出ているものは早く売り、損の出ているものは持ち続けやすい傾向は、「ディスポジション効果」と呼ばれています。[4]
- 米国の証券会社の個人口座1万件(1987〜93年、株)では、買った値段より上がっている株(含み益の株)は、下がっている株(含み損の株)に比べて、売られる割合が約1.5倍でした。[5]
これらは株や実験の研究で、FX にそのまま当てはまるとは限りません。FX では、たとえば「含み益が少し出ると早く決済する」「値段が損切りに近づくと、損切りを遠くへずらす」という形で出ることがありそうです(ここでの例です)。くわしくは損失回避とはと損切りを動かす前にの回にまとめています。いつ決済するかは、ご自身で決めてください。
計算はツールで
- 入った価格と今の価格から、損益を出す: 損益の計算
- ロット数から、1pips の金額を出す: pips の計算
- 今の維持率から、ロスカットの水準まであと何 pips かを出す: ロスカットまでの距離
参考文献
- MetaQuotes. 取引の実行 - 取引操作 - MetaTrader 5のヘルプ. https://www.metatrader5.com/ja/terminal/help/trading/performing_deals
- MetaQuotes. Trade - Terminal - User Interface - MetaTrader 4 Help(英語). https://www.metatrader4.com/en/trading-platform/help/overview/terminal/terminal_trade
- Kahneman, D., & Tversky, A. (1979). Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk. Econometrica, 47(2), 263–291. https://doi.org/10.2307/1914185
- Shefrin, H., & Statman, M. (1985). The Disposition to Sell Winners Too Early and Ride Losers Too Long: Theory and Evidence. The Journal of Finance, 40(3), 777–790. https://doi.org/10.1111/j.1540-6261.1985.tb05002.x
- Odean, T. (1998). Are Investors Reluctant to Realize Their Losses? The Journal of Finance, 53(5), 1775–1798. https://doi.org/10.1111/0022-1082.00072