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FX 初心者講座第21回 全32回講座の目次

FX 初心者講座

スリッページとは。注文した値段と約定した値段のずれ

150.000 で買ったつもりが、約定は 150.003 だった。損切りが、置いた値段より少し悪い値段で決済されていた。こうした小さなずれを、スリッページ(滑り)と呼びます。この記事では、スリッページとは何か、どんな時に起きやすいか、注文の種類とどう関係するかを、図と計算例と出どころつきで見ていきます。どの注文を使うべきかは、この記事では決めません。

公開 2026年10月14日書いた人: Tiltnote 運営代表 奥村 健児(FX の経験があります)

ひとことで言うと

スリッページは、注文した時の値段と、実際に約定した値段(注文が成立した値段)のずれです。ずれは不利な方にも、有利な方にも起きることがあります。

損切り(逆指値)は、置いた値段に届いてから約定する注文なので、置いた値段より悪い値段で決済されることがあります。[1]

スリッページとは

値段は、注文を出してから約定するまでの短い間にも動きます。その間に値段が動くと、注文した時に見えていた値段と、約定した値段がずれます。これがスリッページです。日本語では「滑り」「滑る」とも言います。

MT5 のヘルプでも、逆指値(Stop)の注文について、値段が反対に動いた時は「スリッページで埋められます」と説明されています。[1]

買いの例。USD/JPY を成行で買う時に見えていた値段は150.000。150.003で約定すれば0.3pips不利なずれ、149.997で約定すれば0.3pips有利なずれ。1万通貨なら、どちらも30円の差。売りでは、有利・不利が逆になる。
作った例(USD/JPY を成行で買う場合)。買いは、高く約定すると不利、安く約定すると有利です。売りでは逆になり、安く約定すると不利、高く約定すると有利です。

計算の例: USD/JPY で 0.3pips ずれた時

USD/JPY では、1pips を 0.01円 とすることが多いです。0.3pips は 0.003円 です。

ずれた金額 = ずれた値幅 × 取引した量
0.003円 × 10,000通貨 = 30円

EUR/USD では、1pips を 0.0001 とすることが多いです。1万通貨で 0.3pips ずれると、0.00003 × 10,000 = 0.30ドルです。円以外の通貨の口座では、その時のレートで換算されます(USD/JPY の例の円も同じです)。

どれもこの記事での計算の例です。1ロットの量は業者や口座で違います(ロットとは)。1回ごとの差は小さくても、取引の回数が多いと、合計は大きくなることがあります。費用の数え方は取引の費用の数え方にまとめています。

有利な方にも、不利な方にもずれる

スリッページは、いつも損をする方向とは限りません。注文を出したあと、値段が自分に有利な方へ動けば、有利な値段で約定することもあります。

EU の金融当局 ESMA は、2016年の Q&A でこの点にふれています。対象は、客が注文を出してから、業者の取引相手でヘッジ(同じ取引を取引相手と成立させること)が成立するまでの間の値動きです。有利な動きの時は業者が得をし、不利な動きの損は全部または一部を客に回すやり方を、ESMA は「非対称な価格スリッページ」と呼び、利益相反を避ける手を尽くしていない例に挙げています。[3] 英国の金融行動監視機構 FCA も、2014年の最良執行についての調査で CFD の業者を調べた中で、客に不利な値動きは客に回し、客に有利な値動きは業者が取る同じやり方にふれ、客に不利なずれで得をしようとしなかった業者の例を挙げています。[6] これは CFD や FX などについての当局と業者への説明で、扱いの決まりは国・地域で違います。

起きやすい場面

どれくらいずれるかは、その時の値動きや、業者・口座の約定のしくみで変わります。

注文の種類との関係

MT5のヘルプの説明: 指値は置いた値段か、それより良い値段で約定する。逆指値は置いた値段か、それより悪い値段で約定する。損切りも、値段に届くと決済される。この記事での説明: 成行は値段を決めずに出すので、有利にも不利にもずれることがある。
指値・逆指値は MT5 ヘルプの説明です。成行はこの記事での説明です。約定のしかたは、業者・口座で変わります。

4つの待機注文を置く場所は、指値と逆指値の違いの回で図にしています。

MT5 の「偏差」の欄

MT5 のヘルプでは、約定方式が「即時実行」の時、注文の画面に「偏差」の欄があります。注文を処理している間に、値段がこの欄で決めた幅より大きく動くと、業者(サーバー)は注文を断り、新しい値段を示すことがあります。これをリクオートと呼びます。[1] リクオートは、業者が求められた値段を受け入れず、約定できる値段を返すことです。[2] つまり「偏差」は、受け入れてもよいずれの幅を決める欄です。

ヘルプの「成行実行」の説明には、この欄は出てきません。[1] 自分の口座がどの約定方式かは、注文の画面や業者の説明で確かめてください。MT4・スマホのアプリ・ほかの取引ソフトでは、名前や場所が違ったり、この欄がなかったりします。

記録で自分のスリッページを確かめる(決めるのはご自身)

MT5 のパソコン版では、ツールボックス(Toolbox)の窓で口座の履歴を見られます。[5] 履歴は、ポジション・注文・約定などの形で見られます。約定の一覧の「価格」は約定した値段で、「注文」の欄は、もとになった注文の番号です。[1] この2つを使うと、注文と約定を並べられます。

スマホの場合: Android・iPhone の MT5 のアプリでは、「履歴」のタブを開き、上で「約定」を選びます。MetaQuotes のスマホ版のヘルプによると、最初は短い情報だけが出ていて、約定を1回タップすると、約定した値段の「価格」などのくわしい情報が見られます。[7] 表示の名前は、版や言語の設定で少し違うことがあります。

損切りや成行は、注文した時に見えていた値段や置いた値段を自分でメモしておかないと、あとから比べられないことがあります。

ずれ(pips) = (約定した値段 − 注文の値段) ÷ 1pips の幅
買い: プラスなら不利、マイナスなら有利/売り: マイナスなら不利、プラスなら有利

たとえば、USD/JPY の買いで、注文の値段が 150.000、約定が 150.003 なら、(150.003 − 150.000) ÷ 0.01 = 0.3pips の不利なずれです。何回か記録すると、どんな時間や場面でずれが大きいかを、自分の記録で見られます。どの注文を使うか、いつ取引するかは、この記事では決めません。

pips の金額はpips の計算で、損切り・利確の値段は損切り・利確の価格の計算で確かめられます。履歴の書き出し方はMT4・MT5 の履歴で振り返るの回にあります。

参考文献

  1. MetaQuotes. 取引の実行 - 取引操作 - MetaTrader 5のヘルプ. https://www.metatrader5.com/ja/terminal/help/trading/performing_deals
  2. MetaQuotes. General Concepts(MetaTrader 5 ヘルプ). https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/trading/general_concept
  3. European Securities and Markets Authority. (2016). Questions and Answers: Relating to the provision of CFDs and other speculative products to retail investors under MiFID (ESMA/2016/904). https://www.esma.europa.eu/sites/default/files/library/2016-904_qa_on_cfds_other_speculative_products.pdf
  4. FINRA. (2016). Regulatory Notice 16-19: FINRA Issues Guidance Regarding the Use of Stop Orders During Volatile Market Conditions. https://www.finra.org/rules-guidance/notices/16-19
  5. MetaQuotes. Interface(MetaTrader 5 ヘルプ). https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/startworking/interface
  6. Financial Conduct Authority. (July 2014). TR14/13: Best execution and payment for order flow (p. 19). https://www.fca.org.uk/publication/thematic-reviews/tr14-13.pdf
  7. MetaQuotes. History - MetaTrader 5 for Android Help; History - MetaTrader 5 for iPhone/iPad Help. https://www.metatrader5.com/en/mobile-trading/android/help/history / https://www.metatrader5.com/en/mobile-trading/iphone/help/history

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この記事で使えるツール

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更新日 2026年10月20日 · 運営: Tiltnote 運営代表 奥村 健児 · このサイトについて