窓はなぜできるのか
FX の市場は、週の終わりに閉まり、次の週の始まりに再び開きます。閉まっている間にも、ニュースや出来事で「値段の前提」が変わることがあります。そのため、再び開いた時の最初の値段が、閉まる前の最後の値段から離れて始まることがあります。これが窓です。閉まる・開く時刻は、業者や住んでいる地域の時間で違います。祝日の前後や、大きなニュースが出た時にも、値段が飛ぶことがあります。
為替で、金曜の終値と次の月曜の始値の差を調べた研究があります。主要な8通貨と新興国の9通貨の値動きを使い、この差が大きかった時の、その後の動きを調べています。[2] 調べた過去のデータでは、金曜の終値と月曜の始値の差が大きかった時、多くの市場で、その週のうちに反対向きに戻りやすかった、と報告しています。[2] これは過去のデータの結果で、次の窓がどう動くかを示すものではありません。
窓があくと、損切りはどう約定するか
MT5 のヘルプでは、逆指値(Stop)の注文は「指定した値段か、それより悪い値段で約定する」とされ、値段が反対に動いた時は滑り(スリッページ)が出ると説明されています。[1] 損切りも、置いた値段に届いた時に約定(注文が実際に成立すること)する注文なので、窓が損切りの値段を飛び越えると、置いた値段では約定できません(損切りは逆指値、利確は指値として働く、というのはこの記事での説明です)。
図の例では、損切りを 1.0950 に置いていても、再び開いた時の最初の値段が 1.0900 なら、約定は 1.0900 の近くになりえます。0.1 ロット(1万通貨)・ドル口座の EUR/USD なら、0.0050 × 1万通貨 = 50ドルで、予定の損失より約50ドル大きくなる計算です(この記事での計算例。ドル以外の口座では、その通貨に換算した額になります。実際の約定の値段は、業者・口座・その時の値動きで変わります)。
窓がなくても、急な値動きの時には、損切りが置いた値段より少し悪い値段で約定する(滑る)ことがあります。窓は、その差が特に大きくなりやすい場面です。
一方で、MT5 のヘルプでは、指値(Limit)の注文は「指定した値段か、それより良い値段で約定する」とされています。[1] 利確の値段を窓が飛び越えた時は、置いた値段より良い値段で約定することもあります(この記事での説明です。業者・口座で変わります)。
計算と窓
1回の損失の額や、ロスカットまでの距離の計算は、値段が途切れずに動くことを前提にしています。窓があくと、その前提が崩れて、計算より大きく動いた所で決済されることがあります。証拠金・維持率や、損切りの使い方(指値と逆指値の違い)と合わせて見てください。
自分の記録で確かめる(決めるのはご自身)
市場が閉まる前にポジションを持ったままにするかどうかは、この記事では決めません。記録しておくと、自分の場合にどうだったかを後から見られます。
- 市場が閉まる前から持っていたポジションか
- 損切りを置いた値段と、実際に約定した値段
- 市場が開いた時に、どんな気持ちだったか
1回に失ってもよいと決めた額からロットを出すにはロット計算、1日の損失の上限は損失の上限の計算で確かめられます。
参考文献
- MetaQuotes. Performing Deals(MetaTrader 5 ヘルプ). https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/trading/performing_deals
- Dao, T. M., McGroarty, F., & Urquhart, A. (2016). A calendar effect: weekend overreaction (and subsequent reversal) in spot FX rates. Journal of Multinational Financial Management, 37–38, 158–167. https://doi.org/10.1016/j.mulfin.2016.11.001