SMA の計算
N本の SMA は、今の足を含む直近N本の終値を足して、Nで割ったものです。[1] 20本の SMA なら、20本それぞれが 1 ÷ 20 = 5% ずつの重さで入ります。それより前の値は、まったく入りません。
EMA の計算
EMA は、1本前の EMA に、今の終値を少しだけ混ぜて計算します。[1]
今の EMA = 今の終値 × α + 1本前の EMA × (1 − α)
α = 2 ÷ (N + 1)
α = 2 ÷ (N + 1) は、広く使われている決め方です(MT5 ヘルプの式には、α の決め方は書かれていません)。20本の EMA なら α = 2 ÷ 21 で、約9.5%です。今の終値に約9.5%、1本前に約8.6%、2本前に約7.8%と、古くなるほど少しずつ軽くなります。重さは0にはならないので、20本より前の値も少しずつ入っています(ここでの計算では、直近20本より前の値の重さを合わせると約13.5%)。
遅れの目安は、どちらも同じくらい
まっすぐ上がり続ける値動きでは、N本の SMA も、α = 2 ÷ (N + 1) の EMA も、遅れの目安は (N − 1) ÷ 2 本で同じになります(計算はインジケーターが遅れる理由)。「EMA なら遅れない」わけではありません。
違いが出るのは、値動きの向きが変わる時と、1本だけ大きく動いた時です。
折り返しでは、EMA が先に向きを変えやすい
EMA は新しい値を重く入れるので、価格が折り返すと、SMA より先に向きを変えやすくなります。下の作った値動きでは、価格の折り返しから、EMA は7本後、SMA は10本後に下を向きました。
早く向きを変えるのは、良いことばかりではありません。小さな上下にも反応しやすくなるので、横ばいの時には、向きが何度も入れ替わりやすくもなります(ゴールデンクロス・デッドクロスの「だまし」と同じ話です)。
1本だけ跳ねた時、SMA は2回動く
SMA には、EMA にはない動き方があります。1本だけ大きく跳ねた値は、SMA に入った時に線を押し上げ、N本後にその値が平均から外れる時に、もう一度線を動かします。その時の価格が何も動いていなくても、SMA だけが動きます。
EMA では、跳ねた値の重さが少しずつ軽くなっていくので、線はなだらかに戻ります。
SMA の線が急に向きを変えた時、それが今の値動きのせいなのか、N本前の値が外れたせいなのかは、線だけでは分かりません。N本前に大きく動いた足がなかったかを見ると、見分けやすくなります。
MT5 で選べるほかの種類
SMA や EMA は、多くのチャートソフトで選べます。名前や選べる種類は道具によって違うので、ここでは MT5 の例を書きます。MT5 の移動平均では、SMA と EMA のほかに、平滑移動平均(SMMA)と線形加重移動平均(LWMA)も選べます。[1] LWMA は、新しい値ほど重くする点は EMA と同じですが、重さが一定の幅で減っていき、N本より前は入りません。
どちらを使うか(決めるのはご自身)
どちらが良いかは、相場・時間足・使い方で変わるので、この記事では決めません。分かっているのは、次のような性質の違いです。
- SMA: 計算が分かりやすい。N本前の値が外れる時にも動く
- EMA: 折り返しで向きを変えるのが早めになりやすい。その分、小さな上下にも反応しやすい
- どちらも: 期間を長くすると、なめらかになる代わりに遅れが大きくなる
どちらかを使うなら、手法の名前に「SMA 20」「EMA 20」のように種類と期間まで書いて記録しておくと、自分の場合にどうだったかを後から比べられます。損益の一覧は取引履歴の統計で、勝率・平均の損益・最長の連敗にまとめられます。件数が少ないうちは、数字は大きくぶれます。
参考文献
- MetaQuotes. Moving Average(MetaTrader 5 ヘルプ). https://www.metatrader5.com/en/terminal/help/indicators/trend_indicators/ma