それぞれ、何を売り買いするのか
- FX(外国為替証拠金取引): 2つの通貨の組み合わせ(通貨ペア)を売り買いします。買った値段と売った値段の差が、損益になります。2つの通貨の金利の差で、スワップポイントを受け取ったり、払ったりもします。証拠金を預けて、その何倍もの額を取引します(レバレッジ)。くわしくはFX とはの回で説明しています。
- 株: 会社の持ち分を買います。お金が増えるのは、株の値段が上がった時と、会社が利益の一部を配る「配当」を受け取った時です。[12]
- 株価指数への長期投資: S&P500 のような株価指数は、たくさんの株をまとめた「かご」の値動きを表す数字です。指数そのものは買えないので、指数に合わせて動くように作られた投資信託や ETF(取引所で売り買いできる投資信託)を買います。[13] こうした商品は、売り買いをあまりせずに長く持つ運用が一般的です。[13]
- 暗号資産(仮想通貨): インターネット上のデータでできた資産を売り買いします。法定通貨(国の通貨)ではありません。[16] 米国の商品先物取引委員会(CFTC)は、政府や中央銀行の裏付けはなく、値段は買いたい人と売りたい人の多さだけで決まると説明しています。[10]
- バイナリーオプション: 為替や株価指数などが、決められた時点で「ある値より高いか低いか」などを、2つから選ぶ取引です。オプション料を払い、予測が当たると決められた額の払い戻しを受け取り、外れると払い戻しはなく、オプション料が損になります。[15]
比べる表
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| 項目 | FX | 株 | 株価指数への長期投資 | 暗号資産 | バイナリーオプション |
|---|---|---|---|---|---|
| 何を売り買いする | 通貨ペア | 会社の持ち分[12] | 指数に合わせて動く投資信託・ETF[13] | 暗号資産[16] | 決めた時点の値段が条件に合うかどうかの取引[15] |
| お金が増える・減るしくみ | 売り買いの値段の差。金利の差によるスワップの受け取り・支払い | 値段の上がり下がり。配当[12] | 指数に入っている株の値段の上がり下がり[13] | 値段の上がり下がり[10] | 当たれば決められた額の払い戻し、外れればオプション料が損[15] |
| 借りて大きく取引するか(レバレッジ) | 証拠金の何倍もの額を取引する。上限は国・地域で違う[1][7] | 自分のお金で買う形と、お金を借りて買う形(信用取引)がある[11] | 自分のお金で買う形が基本 | 自分のお金で買う形と、証拠金を使う先物などがある[10] | 1回に払うのはオプション料[15] |
| 取引できる時間 | 市場は世界のどこかで24時間動き続けるといわれる[21]。業者ごとの取引時間もある | 取引所や業者が決めた時間 | 取引所や販売する会社が決めた時間 | 交換業者や取引所が決めた時間 | 業者が決めた時間・回 |
| 主な費用 | スプレッド(売値と買値の差)、スワップの支払い | 売り買いの手数料など(業者で違う) | 売り買いの手数料と、持っている間かかる運用の費用(日本の投資信託では「信託報酬」)[13] | 業者の手数料や、売値と買値の差など(業者で違う) | オプション料。払い戻しの額は先に決まっている[15] |
| 最大でどれだけ失うことがあるか | 預けた証拠金を超えることがある[20](EU の大半の国・英国・豪州では、一般の顧客(リテール)の損を口座の資金までに限る決まりがある[3][4][7]) | 自分のお金で買えば、出したお金まで。借りて買うと超えることがある[11] | 自分のお金で買えば、出したお金まで | 自分のお金で買えば、出したお金まで。証拠金の取引では超えることがある[10] | 1回の損はオプション料まで。くり返すと合計は大きくなる[15] |
| 規制の例(国・地域で違う) | レバレッジの上限が、国・地域ごとに決まっている所がある(国・地域別の上限) | 国・地域の証券の決まりに従う | 国・地域の投資信託・証券の決まりに従う | 日本は交換業者の登録制[16]。英国は一般の顧客(リテール)向けのある種の暗号資産デリバティブの販売を禁止[6] | 英国・豪州は一般の顧客(リテール)向けの販売を禁止[5][8]。EU の大半の国も、2019年の時点で自国の決まりで制限[2]。日本は登録が必要[15] |
| 税 | 税のしくみは、商品と国・地域で違います。日本では、NISA の対象になる商品とならない商品があります。[17] 住んでいる国・地域の税の当局で確かめてください。 | ||||
(2026年10月14日に、各当局の公式資料で確かめた内容です。決まりは変わることがあります。費用の額は、業者や商品によって違うので、表には数字を書いていません。)
税は、商品と国によって大きく違います。たとえば英国では、値動きを CFD やスプレッドベット(たとえば FTSE 100 という指数の値動きに賭けるもの)で取引する人もいます。英国の税務当局 HMRC の手引きは、個人向けの CFD の損益は、事業の所得として課税される場合を除き、ほとんどの場合キャピタルゲイン税の扱いになり、スプレッドベットからは課税の対象になる利益も、差し引ける損失も生じない、としています。扱いは人の状況によって違い、変わることもあります。[24][25] 株式型の ISA(個人貯蓄口座)の中の株には、それ専用の税の決まりがあり、1年に入れられる額に上限があります。[26] 税の助言ではありません。住んでいる所の税務当局で確かめてください。
最大でどれだけ失うことがあるか
- 自分のお金で買う形: 値段はゼロより下にならないので、損は出したお金までです。ただ、全部無くなることはあります。[12]
- 借りる・証拠金を使う形: 出したお金より多く失うことがあります。[10][11] FX では、急な値動きなどでロスカットが間に合わないこともあります。[20] 英国や豪州、EU の大半の国(EU は2019年の ESMA の発表時点)では、業者が一般の顧客(リテール)に口座の資金を超える損を負わせない決まり(マイナス残高の保護)があります。[3][4][7]
FX のロスカットのしくみはロスカットとはの回で説明しています。
よくある注意点
- FX: レバレッジがあるので、小さな値動きでも証拠金に対して大きな損益になります。EU の2018年の決定は、CFD(通貨ペアを対象にしたものも含む)の広告に「一般の顧客(リテール)の口座の74〜89%が損をしている」という標準の警告文を入れることを業者に求めました(自社の割合を出せない業者向けの文。数字は2018年当時の各国当局の分析にもとづくもので、今の割合ではありません)。[1] ロスカットの水準や、証拠金以上の損が出た時の扱いは、業者の説明で確かめる必要があります。[20] 業者によっては、スワップのかからない口座を用意している所もあります。宗教上の判断は、ご自身の宗教の専門家に確かめてください。
- 株: 値段は上がることも下がることもあり、会社が育つ保証はありません。[12] 一日のうちに何度も売り買いするデイトレードについて、米国の証券取引委員会(SEC)は、とても危険で、短い時間で大きな損になりうると説明しています。[14]
- 株価指数への長期投資: 指数に入っている株と同じ危険があります。費用や運用のずれで、指数より成績が下がることもあります。指数の投資信託がいつも、銘柄を選んで運用する投資信託より費用が低いとは限らないので、買う前に実際の費用を確かめるよう、SEC は呼びかけています。[13]
- 暗号資産: 値段が大きく動くことがあります。[10][16] 盗まれた時に救済を受けられる保証はない、と CFTC は説明しています。[10] 金融庁は、暗号資産や詐欺的なコインの相談が増えていると注意しています。[16]
- バイナリーオプション: しくみは簡単に見えますが、専門知識と高度なリスク管理が必要な難しい取引だと、金融庁は説明しています。損が限られるので低いリスクだと誤解しやすく、短い時間でくり返して多額の損になるおそれもあります。[15] 米国の SEC と CFTC は、入金したお金を引き出させない・個人情報を盗む・負けるようにソフトを操作する、といった詐欺の苦情があると注意しています。[9]
どれでも、SNS で「必ず儲かる」と勧められる話には注意が必要です。勧める人が、業者から紹介の報酬を受け取っている場合もあります(SNS の「プロトレーダー」に注意)。取引する前に、相手が登録されているかを、公的な検索で確かめられます。
- 日本: 金融庁の「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」[18]
- 英国: FCA の登録の検索(Financial Services Register)[19]
- 米国: FINRA の BrokerCheck と、NFA の BASIC。SEC と CFTC は、登録を確かめられない相手とは取引しないよう呼びかけています。[9]
ほかの国・地域でも、当局が同じような検索を用意していることがあります。くわしくは登録していない業者の危険の回で説明しています。
規制は国・地域で違う
- EU(欧州連合): 欧州証券市場監督局(ESMA)は2018年、一時的な措置として、一般の顧客(リテール)へのバイナリーオプションの販売を禁止し、一般の顧客向けの CFD に、証拠金の下限・ロスカット・業者が顧客に口座の資金を超える損を負わせない決まりなどを付けました。[1] この措置は2019年に終わり(バイナリーオプションは7月1日、CFD は7月31日)、その後、大半の加盟国の当局が、同じくらい厳しい自国の決まりを定めました(2019年の ESMA の発表時点)。[2][3]
- 英国: 金融行為監督機構(FCA)は、2019年4月2日から一般の消費者(リテール)へのバイナリーオプションの販売を禁止しました。[5] 2019年8月1日からは、一般の顧客の CFD などの損を口座の資金までに限る決まりがあります。[4] 2021年1月6日からは、一般の消費者へのある種の暗号資産のデリバティブ(CFD・オプション・先物)の販売も禁止しています。[6]
- 豪州(オーストラリア): 証券投資委員会(ASIC)は、2021年3月29日から、一般の顧客(リテール)向けの CFD にレバレッジの上限やマイナス残高の保護などの条件を付けています(2027年5月23日まで延長)。[7] 2021年5月3日からは、一般の顧客へのバイナリーオプションの販売を禁止しています(2031年10月1日まで延長)。[8]
- 米国: SEC と CFTC は、バイナリーオプションの市場の多くが、米国の決まりを守っているとは限らないネット上の取引の場で行われていると注意しています。[9]
- 日本: 暗号資産と円などの交換の事業には、暗号資産交換業の登録が必要です。[16] なお、2026年7月に、暗号資産の決まりの中心を金融商品取引法に移す改正法が成立し、7月23日に公布されました。いつから変わるか(施行の日)は、金融庁の発表で確かめてください。[27] バイナリーオプションも、日本に住む人に業として提供するには登録が必要で、ほかの国でライセンスを持つ業者でも、登録なしに日本に住む人へ提供することは禁止されています。[15]
ここに挙げたのは、いくつかの例だけです。ほかの国・地域では決まりが違います。自分が住んでいる所の当局の説明で確かめてください。
自分で確かめておくこと
- 最大の損: 出したお金までか、超えることがあるか
- 費用と税: 売り買いのたびにかかる費用、持っている間かかる費用、税のしくみ
- 相手: 自分が住んでいる国・地域で、登録や許可を受けている業者か
- 決まり: 自分が住んでいる所で、一般の顧客(リテール)に認められている取引か
FX で、取引量ごとに必要な証拠金を出すには証拠金の計算のツールが使えます。
このページは、比べるための説明です。商品を選ぶ判断は、ご自身で行ってください。迷ったら、住んでいる国・地域の公的な相談窓口に相談してください。 たとえば日本では、金融庁の金融サービス利用者相談室や、消費者ホットライン(188)があります。[16] オーストラリアでは、ASIC が、投資詐欺も含めて詐欺はすべて Scamwatch に通報するよう案内しています。[22] ASIC は、紛争解決の決まりの対象の業者はオーストラリア金融苦情機関(AFCA)に加入しなければならず、AFCA は業者が社内で解決できなかった苦情を扱える、としています。[23] 頼る前に、その業者が AFCA に加入しているか確かめてください。 取引をやめられない、負けを取り返したくなる時は、住んでいる地域のギャンブルや依存の相談窓口も使えます。
参考文献
- European Securities and Markets Authority. (2018). Notice of ESMA's Product Intervention Decisions in relation to contracts for differences and binary options (ESMA35-43-1135、2018年5月22日の決定). https://www.esma.europa.eu/sites/default/files/library/esma35-43-1135_notice_of_pi_decisions_on_cfds_and_binary_options.pdf
- European Securities and Markets Authority. (2019). ESMA ceases renewal of product intervention measure relating to binary options. https://www.esma.europa.eu/press-news/esma-news/esma-ceases-renewal-product-intervention-measure-relating-binary-options
- European Securities and Markets Authority. (2019). ESMA ceases renewal of product intervention measures relating to contracts for differences. https://www.esma.europa.eu/press-news/esma-news/esma-ceases-renewal-product-intervention-measures-relating-contracts
- Financial Conduct Authority. FCA Handbook, COBS 22.5(COBS 22.5.17、2019年8月1日から). https://handbook.fca.org.uk/handbook/cobs22/cobs22s5
- Financial Conduct Authority. (2019年3月29日). FCA confirms permanent ban on the sale of binary options to retail consumers. https://www.fca.org.uk/news/statements/fca-confirms-permanent-ban-sale-binary-options-retail-consumers
- Financial Conduct Authority. (2020年10月6日). FCA bans the sale of crypto-derivatives to retail consumers. https://www.fca.org.uk/news/press-releases/fca-bans-sale-crypto-derivatives-retail-consumers
- Australian Securities and Investments Commission. (2022). 22-082MR ASIC's CFD product intervention order extended for five years. https://asic.gov.au/about-asic/news-centre/find-a-media-release/2022-releases/22-082mr-asic-s-cfd-product-intervention-order-extended-for-five-years/
- Australian Securities and Investments Commission. (2022). 22-243MR ASIC's binary options ban extended until 2031. https://asic.gov.au/about-asic/news-centre/find-a-media-release/2022-releases/22-243mr-asic-s-binary-options-ban-extended-until-2031/
- Commodity Futures Trading Commission, U.S. Securities and Exchange Commission. CFTC/SEC Investor Alert: Binary Options and Fraud. https://www.cftc.gov/LearnAndProtect/AdvisoriesAndArticles/fraudadv_binaryoptions.html
- Commodity Futures Trading Commission. Customer Advisory: Understand the Risks of Virtual Currency Trading. https://www.cftc.gov/LearnAndProtect/AdvisoriesAndArticles/understand_risks_of_virtual_currency.html
- U.S. Securities and Exchange Commission. Investor Bulletin: Understanding Margin Accounts. https://www.sec.gov/investor/alerts/ib_marginaccounts.pdf
- U.S. Securities and Exchange Commission (Investor.gov). Stocks - FAQs. https://www.investor.gov/introduction-investing/investing-basics/investment-products/stocks
- U.S. Securities and Exchange Commission (Investor.gov). (2018年8月6日). Investor Bulletin: Index Funds. https://www.investor.gov/additional-resources/news-alerts/alerts-bulletins/investor-bulletin-index-funds
- U.S. Securities and Exchange Commission (Investor.gov). Day Trading. https://www.investor.gov/introduction-investing/investing-basics/glossary/day-trading
- 金融庁. (2020年2月28日、2024年6月28日更新). バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!. https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/binary.html
- 金融庁. 暗号資産の利用者のみなさまへ. https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/index.html
- 金融庁. NISAを知る(NISA特設ウェブサイト). https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
- 金融庁. 免許・許可・登録等を受けている事業者一覧. https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html
- Financial Conduct Authority. Financial Services Register. https://register.fca.org.uk/
- 一般社団法人 金融先物取引業協会. 学ぼう!FX #9 ロスカット取引について. https://www.ffaj.or.jp/learning/?p=27
- 一般社団法人 金融先物取引業協会. 学ぼう!FX #1 外国為替市場の仕組み. https://www.ffaj.or.jp/learning/?p=5
- Australian Securities and Investments Commission. Scams. https://www.asic.gov.au/regulatory-resources/scams
- Australian Securities and Investments Commission. Dispute resolution. https://asic.gov.au/regulatory-resources/financial-services/dispute-resolution/
- HM Revenue & Customs. Capital Gains Manual, CG56100: Futures: financial futures: contracts for differences. https://www.gov.uk/hmrc-internal-manuals/capital-gains-manual/cg56100
- HM Revenue & Customs. Capital Gains Manual, CG56105: Futures: financial futures: financial spread betting. https://www.gov.uk/hmrc-internal-manuals/capital-gains-manual/cg56105
- GOV.UK. Individual Savings Accounts (ISAs). https://www.gov.uk/individual-savings-accounts
- 参議院. 金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案(第221回国会)の議案情報(令和8年7月15日成立、7月23日公布、法律第64号). https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221057.htm