レバレッジの上限とは
レバレッジの上限は、「取引の額に対して、最低どれだけの証拠金を置くか」の決まりとして書かれていることが多いです。上限が30倍なら、取引の額の約3.33%以上の証拠金が要ります。必要な証拠金は、証拠金の計算で出せます。言葉の意味はFX 用語集もどうぞ。
上限は、業者がそれより低い倍率を決めることを止めるものではありません。また、上限まで使う必要もありません。
当局の公式資料で確かめた上限(一般の顧客の口座)
国・地域の名前の50音順です。
表は横にずらして見られます →
| 国・地域 | 当局 | 主な通貨ペア | そのほか(一部) | 確かめた資料 |
|---|---|---|---|---|
| アラブ首長国連邦(ドバイ国際金融センター) | DFSA | 約30倍(3.3%) | 主要以外の通貨ペア・金・主要な株価指数: 20倍(5%) | [1] |
| 英国 | FCA | 30倍(3.33%) | 主要以外の通貨ペア・金・主要な株価指数: 20倍(5%) | [2] |
| 欧州連合(EU。例: キプロス) | CySEC | 30倍 | 主要以外の通貨ペア・金・主要な株価指数: 20倍 | [3][4][5] |
| オーストラリア | ASIC | 30倍 | 主要以外の通貨ペア・金・主要な株価指数: 20倍 | [6][7] |
| ケニア | CMA | 400倍(下の注を) | 通貨ペア・原資産の区別なし | [8] |
| 日本 | 金融庁 | 25倍 | 通貨ペアを問わず同じ(証拠金4%以上) | [9] |
| 米国 | CFTC・NFA | 50倍(2%) | そのほかの通貨: 20倍(5%) | [10][11] |
| 香港 | SFC | 20倍(当初の証拠金5%) | 通貨ペアを問わず同じ | [12] |
(2026年10月12日に、各当局の公式資料や公表された規則で確かめた内容です。決まりは変わることがあります。「主な通貨ペア」に入る通貨は、当局ごとに決まっています。米国では、英ポンド・スイスフラン・カナダドル・円・ユーロ・豪ドル・NZドル・スウェーデンクローナ・ノルウェークローネ・デンマーククローネが主な通貨とされています。[11] オーストラリアでは、豪ドル・英ポンド・カナダドル・ユーロ・円・スイスフラン・米ドルのうち、2つの組み合わせが主な通貨ペアです。[6])
- 欧州連合(EU): 2018年に欧州証券市場監督機構(ESMA)が EU 全体で上限を決めました(主な通貨ペア30倍など)。[3] 2019年から2020年にかけて、EU の各国の当局が自国の決まりを設け、ESMA の一時的な措置に置き換えました。[4] 表のキプロスは、その一例です。[5] ほかの EU の国は、その国の当局で確かめてください。
- オーストラリア: 上限を決めた命令は、2027年5月23日まで延長されています。[7] この命令は、プロ・ソフィスティケイテッド(一定の資産や経験のある人)・ホールセールの顧客には当てはまりません。[18]
- ケニア: 規則の条文(第19条)は「顧客の預け金の400倍を超えない」とだけ書いていて、取引の大きさなどの条件は条文にはありません。ただ、規則では、当局が通達で倍率を変えられるとされています。[8] 通達などで条件(取引の大きさなど)が付いている場合があるので、今の値と条件は、規則の原文と当局の発表で確かめてください。
- 日本: 25倍は、金融庁に登録した業者が個人と取引する時の上限です。[9]
- トルコ: 資本市場委員会(SPK)は2017年に、上限を10倍とする決まりを発表しました。[13] その後の改正があるため、今の上限は確かめられていません。
上限のほかにある決まり
オーストラリア・英国・EU(キプロス)・ドバイ国際金融センターでは、一般の顧客の口座について、次のような決まりもあります。[1][2][5][18] たとえばオーストラリアでは、口座の純資産が、持っているポジションの当初証拠金の合計の50%を下回ったら、業者は市場の状況が許す限りすぐに、ポジションを1つ以上決済しなければなりません。[18]
- 口座のお金が、証拠金の50%を下回ると、ポジションを決済する(ロスカット。何の50%かは当局によって少し違います)
- 損失は口座のお金までで、マイナスにはならない(マイナス残高の保護)
米国では、NFA の規則で、FX の業者は同じ通貨ペアのポジションを古いものから順に(先入れ先出しで)決済することも求められています。くわしくは米国の FIFO ルールとはにまとめています。
ほかの国や地域の決まりは、その国の当局で確かめてください。
取引できる場所そのものに決まりがある国
多くの国で、個人に FX を提供できるのは、その国の当局に登録した業者だけです。次は、取引できる場所に特に決まりがある例です。
- インド: インドの居住者が外国為替の取引を電子的に行う時は、インド準備銀行(RBI)が認めた電子取引の場か、認められた取引所(NSE・BSE・MSE)に限られています。認められていない場での取引は、インドの外国為替管理法(FEMA)にもとづく罰の対象になりうるとされています。[14]
- 中国本土: 中国本土で外貨の証拠金取引を行う機関は、当局に承認されていないとされています。[15]
- ブラジル: ブラジルの居住者に FX を提供する業者は、ブラジル証券取引委員会(CVM)に登録するか、CVM に登録したブラジルの業者を通す必要があるとされています。[16]
- ナイジェリア: 証券取引委員会(SEC)が、オンラインの FX と CFD の規則の案を出しています(案の段階)。[17]
この一覧に載せていない国・地域
カナダ、ニュージーランド、シンガポール、韓国、スイス、キプロス以外の EU の国(ドイツなど)、イスラエル、メキシコ、南アフリカ、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどは、今回、当局の公式資料で上限の数字までは確かめられなかったため、載せていません。お住まいの国や地域の当局の公式サイトで確かめてください。確かめられたら、この一覧に足していきます。
なぜ国によって違うのか
多くの当局は、一般の顧客(リテール)の口座の損失を減らすことを目的に上限を置いています。たとえば ESMA は2018年の措置の理由として、各国の当局の分析で一般の顧客の CFD の口座の74〜89%が損をしていたことを挙げています。[3] 上限の高さは、その国の市場や考え方によって違います。高い上限が使えることは、損失も大きくなりうるということです。
損が続いて苦しい時や、やめたいのにやめられないと感じる時は、一人で抱えなくて大丈夫です。多くの国や地域に、お金やのめり込みについて相談できる窓口があります。
参考文献
- Dubai Financial Services Authority (DFSA). Conduct of Business Module (COB) 6.16.6–6.16.8. https://dfsaen.thomsonreuters.com/rulebook/cob-6166
- Financial Conduct Authority (FCA). FCA Handbook, COBS 22.5. https://www.handbook.fca.org.uk/handbook/COBS/22/5.html
- European Securities and Markets Authority (ESMA). ESMA agrees to prohibit binary options and restrict CFDs to protect retail investors (2018年3月27日). https://www.esma.europa.eu/node/84933
- European Securities and Markets Authority (ESMA). Product intervention. https://www.esma.europa.eu/investor-corner/product-intervention
- Cyprus Securities and Exchange Commission (CySEC). Policy Statement PS-04-2019. cysec.gov.cy の PDF
- Australian Securities and Investments Commission (ASIC). ASIC product intervention order strengthens CFD protections (20-254MR). asic.gov.au の発表(2020年)
- Australian Securities and Investments Commission (ASIC). ASIC’s CFD product intervention order extended for five years (22-082MR). asic.gov.au の発表(2022年)
- Kenya Gazette Supplement No. 133 (2017年8月25日). The Capital Markets (Online Foreign Exchange Trading) Regulations, 2017 (Legal Notice No. 226), regulation 19. ケニア国会図書館。2023年10月6日時点の改正後の条文(第19条は変わっていません): Kenya Law
- 金融庁. いわゆる外国為替証拠金取引について. https://www.fsa.go.jp/ordinary/iwagai/
- U.S. Code of Federal Regulations. 17 CFR 5.9 Security deposits for retail forex transactions. https://www.ecfr.gov/current/title-17/chapter-I/part-5/section-5.9
- National Futures Association (NFA). Financial Requirements, Section 12. nfa.futures.org
- Securities and Futures Commission (SFC). Code of Conduct for Persons Licensed by or Registered with the SFC, Schedule 6. sfc.hk の Code of Conduct(PDF)
- Sermaye Piyasası Kurulu (SPK). III-37.1 sayılı Tebliğde değişiklik (2017年). spk.gov.tr の発表
- Reserve Bank of India. Foreign Exchange (Forex) Transactions — FAQs (2024年8月28日更新). https://www.rbi.org.in/commonperson/english/scripts/FAQs.aspx?Id=3347
- 国家外汇管理局 江苏省分局 (2019年1月7日). https://www.safe.gov.cn/jiangsu/2019/0107/483.html
- Comissão de Valores Mobiliários (CVM). Mercado Forex: qual o posicionamento? gov.br/cvm の FAQ
- Securities and Exchange Commission, Nigeria. Proposed Rules on Online Forex Trading and Contract for Difference (CFD). sec.gov.ng の PDF
- Australian Securities and Investments Commission (ASIC). Explanatory Statement, ASIC Corporations (Product Intervention Order—Contracts for Difference) Instrument 2020/986(2020年10月23日登録). Federal Register of Legislation(PDF)