ギャンブラーの誤謬とは
1971年の論文では、人は、ランダムな並びのどの部分にも本当の割合が表れるはずだと思い、偏りが出ると反対側への揺り戻しを期待する、と書いています。これをギャンブラーの誤謬と呼びます。[1]
同じ論文は、コインの例で、偏りが出てもすぐに反対の偏りで打ち消されるわけではなく、回数が増えるにつれて薄まるだけだ、と説明しています。[1] たとえば表と裏が半々のコインで5回続けて表が出ても、6回目の裏の出やすさは変わりません(ここでの例です)。
カジノのルーレットの記録を調べた研究
米国のカジノで、ルーレットを遊ぶ139人が18時間に置いた24,131回の賭けを、記録から調べた研究があります。[2]
- 1回出た後: 「赤か黒か」などの半々の賭け531回のうち、出たのと反対に賭けたのは255回(48%)で、偏りはほぼ見られませんでした[2]
- 続いた回数が増えると: 1〜4回続いた後では、はっきりした違いは見られませんでした。5回続いた後と、6回以上続いた後では、反対に賭ける傾向がはっきり出ていました[2]
- 6回以上続いた後: 85%の賭けが、続いたのと反対に置かれていました[2]
これは1つのカジノの18時間の記録で、トレードの研究ではありません。
賭け事の外でも
難民の審査をする裁判官、融資の審査、野球の審判の判定を調べた研究でも、続けて同じ判断をした後に反対の判断をしやすい傾向が見られ、研究の要旨は、偶然でも続くことがあるのを人が少なく見積もるギャンブラーの誤謬に最も合う、と書いています(ほかの説明も完全には除けない、とも書いています)。[3]
トレードで出やすい場面
たとえば、次のような形で出ることがあります(ここでの例です)。
- 連敗の後に「そろそろ勝つ番だ」と感じて、ロットを大きくする
- 同じ向きに何本も足が続いた後に、「そろそろ反対に動くはず」とだけ考えて入る
トレードの勝ち負けが、ルーレットのように毎回まったく独立しているとは限りません。ただ、「続いたから次は反対」という感じ方だけでは、次の結果は分かりません。勝率ごとの連敗の起こりやすさは連敗を確率で見る、連敗の後に取り返したくなる時の決めごとは取り返しトレードのやめ方にまとめています。
自分の記録で確かめる(決めるのはご自身)
- 連敗の後のロット: ふだんのロットと比べて大きくなっていないか
- 連敗の後の気持ち: 「そろそろ勝つ番」「取り返したい」と感じて入ったトレードの結果
- 連敗の長さ: 自分の記録で、何連敗まで起きているか
連敗の起こりやすさは連敗の確率のツールで、今の記録の最大の連敗は取引履歴の統計で確かめられます。どう売買するかは、この記事では決めません。
取り返したい気持ちが続いて、やめたくてもやめられないと感じる時は、お住まいの地域の依存症やギャンブルの相談窓口に話すこともできます。
参考文献
- Tversky, A., & Kahneman, D. (1971). Belief in the law of small numbers. Psychological Bulletin, 76(2), 105–110. https://doi.org/10.1037/h0031322
- Croson, R., & Sundali, J. (2005). The Gambler's Fallacy and the Hot Hand: Empirical Data from Casinos. Journal of Risk and Uncertainty, 30(3), 195–209. https://doi.org/10.1007/s11166-005-1153-2
- Chen, D. L., Moskowitz, T. J., & Shue, K. (2016). Decision Making Under the Gambler's Fallacy: Evidence from Asylum Judges, Loan Officers, and Baseball Umpires. The Quarterly Journal of Economics, 131(3), 1181–1242. https://doi.org/10.1093/qje/qjw017